個人事業主が納める税金の種類とは?それぞれの金額の目安や計算方法も解説

個人事業主として働くと、会社員とは異なるさまざまな税金を自分で計算し、納める必要があります。所得税や住民税、消費税、個人事業税など、その種類ごとに計算方法や納付時期も異なるため、正しい理解が欠かせません。また、収入に応じた税額の目安を知っておくことで、資金計画も立てやすくなります。本記事では、個人事業主が納める税金の種類と、それぞれの金額の目安や計算方法をわかりやすく解説します。
個人事業主が納める税金とは?全体像をわかりやすく解説

個人事業主として働くと、会社員とは異なるかたちで税金を納める必要があります。個人事業主が支払う税金にはいくつかの種類があり、その内容を正しく理解しておかなければ、思わぬ納税負担やペナルティを受けるリスクもあるため注意が必要です。
この記事では、個人事業主が納める税金の種類について全体像をわかりやすく解説するとともに、それぞれの税金の金額の目安や計算方法、納付タイミング、節税のポイントまでを丁寧に紹介していきます。
特に個人事業主になったばかりの方や、これから開業を検討している方にとって、税金の仕組みを把握することは、経営を安定させるうえで重要な第一歩です。まずは、個人事業主が負担する税金の全体像から理解していきましょう。
国税と地方税の違い
個人事業主が納める税金は、大きく分けて「国税」と「地方税」の2種類に分類されます。それぞれの特徴を知ることで、どのようなタイミングで、誰に対して、どの税金を納めるのかが明確になります。
国税とは
国税は、国が課税・徴収する税金です。個人事業主に関係する主な国税には、次のようなものがあります。
- 所得税(復興特別所得税を含む)
- 消費税
これらは、確定申告を通じて自ら申告・納税する「申告納税方式」が基本となります。所得税は、事業によって得られた課税所得に対して課され、累進課税制度により所得が増えるほど税率も高くなります。また、一定の基準を超える売上高がある場合は、消費税の納税義務も発生します。
地方税とは
地方税は、住んでいる地域の都道府県や市区町村が課税・徴収する税金です。個人事業主に関係する代表的な地方税は以下の通りです。
- 住民税(所得割+均等割)
- 個人事業税
- 固定資産税(不動産を所有している場合)
地方税の多くは、前年の所得をもとに自治体が課税額を計算し、通知書が送付される「賦課課税方式」によって納付します。住民税や個人事業税は、たとえ赤字であっても一定の所得があれば発生することがあるため、事業計画を立てる際にはその点も見込んでおく必要があります。
このように、個人事業主として納める税金は国税と地方税の両方があり、それぞれに異なる課税基準や納付方法があることを理解しておきましょう。
納税が必要になる所得の目安
次に、どの程度の所得があると税金を納めなければならないのか、その目安を見ていきましょう。
所得税が発生する所得の目安
個人事業主の所得税は、「事業所得(売上から必要経費を差し引いた金額)」をもとに計算されます。ただし、全員が所得税を支払う必要があるわけではありません。
たとえば、基礎控除(2025年時点で48万円)や青色申告特別控除(最大65万円)などの各種控除を合計した金額よりも所得が少なければ、所得税は課税されません。
したがって、青色申告をしている個人事業主で、経費をしっかり計上していれば、事業所得が100万円以下であれば所得税は非課税になる可能性が高いです。ただし、住民税や国民健康保険料など、他の税金や保険料は発生する可能性があります。
住民税・個人事業税の発生条件
住民税は、多くの自治体で課税所得が45万円を超えると所得割が課税される仕組みです。均等割(年5,000円前後)は、一定の所得があれば発生します。個人事業税は、事業の種類や所得額により異なりますが、多くの場合事業所得が290万円を超えると課税対象になります。
消費税の納税義務の目安
消費税については、2年前の課税売上が1,000万円を超えている場合に納税義務が発生します(基準期間制度)。また、インボイス制度の導入により、課税事業者の登録をすることで2割特例などの制度を使いながら対応する必要があります。
参考:個人事業主・フリーランスが納める税金の種類は?節税対策についても徹底解説
個人事業主が納める税金の種類一覧

個人事業主が支払うべき税金にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる計算方法や納付方法、納税タイミングがあります。以下では、個人事業主が負担する代表的な税金について、種類別に詳しく解説します。
所得税・復興特別所得税
所得税は、個人事業主の所得に対して課される代表的な国税で、所得に応じて税率が変動する「累進課税制度」が適用されます。また、復興特別所得税は、東日本大震災の復興を目的として上乗せされている税金です。
所得税の計算方法と税率
所得税は、次のような流れで計算されます。
- 事業所得を算出:
売上(収入)− 必要経費 = 事業所得 - 課税所得を算出:
事業所得 − 各種控除(基礎控除、青色申告特別控除、配偶者控除など)= 課税所得 - 所得税額を計算:
課税所得 × 所得税率(5%〜45%)= 所得税 - 復興特別所得税を加算:
所得税 × 2.1% = 復興特別所得税
※最終的な納税額は、所得税+復興特別所得税となります。
所得税の速算表を使うと簡単に概算額を確認できます。たとえば、課税所得が300万円の場合、税率は10%となり、控除後に約20〜30万円程度の税金がかかることが一般的です。
所得税の納付時期と方法
個人事業主は、毎年1月1日〜12月31日の所得に対して、翌年2月16日〜3月15日までに確定申告を行い、納税を済ませます。納付方法は以下の通りです。
- 銀行窓口で納付
- コンビニ納付
- クレジットカード納付
- e-Tax(オンライン)納税
- 口座振替(要事前申請)
納付期限までに支払いがないと延滞税などのペナルティが発生するため、早めの対応が大切です。
住民税
住民税は、個人事業主が居住している市区町村や都道府県に支払う地方税です。前年の所得に基づいて課税され、翌年に納付する仕組みです。
所得割と均等割の違い
住民税は以下の2つの課税要素から構成されます。
- 所得割:課税所得に対して一定の税率(市区町村6%、都道府県4%)を乗じて計算される
- 均等割:所得に関係なく一律で課税(年額5,000円前後)
所得割は、前年の確定申告内容に基づいて算定され、控除が少ないほど税額が増えます。
住民税の納付方法と時期
住民税は、5月〜6月頃に自治体から届く納付書または通知書に基づいて納税します。納付方法には以下の選択肢があります。
- 一括納付
- 4回分割(6月、8月、10月、翌年1月)
- 口座振替(申請制)
会社員とは異なり、個人事業主は住民税の「特別徴収(給与天引き)」ではなく、「普通徴収(自分で支払う)」となる点に注意しましょう。
参考:所得税だけじゃない!個人事業主が納める税金の種類とは?
個人事業税

個人事業税は、一定の所得がある個人事業主に対して課される地方税です。全ての事業が対象ではなく、地方税法で定められた法定業種のみが課税対象となります。
対象業種と非課税条件
個人事業税の対象となる主な業種には、以下のようなものがあります。
- 小売業、飲食業、建設業、IT・広告業など(第1種)
- 医師、弁護士、税理士、デザイナーなど(第3種)
ただし、次のようなケースでは非課税となります。
- 事業所得が290万円以下
- 非課税業種に該当する(例:農業、漁業など)
- 赤字または繰越控除がある場合
個人事業税の税率と計算方法
税率は業種により異なり、以下の通りです。
- 第1種事業:5%
- 第2種事業:4%
- 第3種事業:5%
計算方法は以下の通りです。
事業所得 − 各種控除(事業主控除290万円など)× 税率 = 個人事業税
たとえば、所得が500万円のデザイナーであれば、(500万円 − 290万円)× 5% = 10万5,000円が税額となります。
消費税
消費税は、事業者が商品やサービスを提供する際に得た売上に課税される税金です。個人事業主でも、一定の売上規模を超えると課税事業者となり、消費税を納める必要があります。
免税事業者と課税事業者の違い
2年前の課税売上が1,000万円を超えていない個人事業主は、免税事業者となり、消費税の納税義務が免除されます。一方、基準を超えると課税事業者となり、申告・納税が必要です。
課税方法には以下の2種類があります。
- 原則課税方式:売上にかかる消費税 − 仕入れにかかる消費税を差し引いて納税
- 簡易課税方式:業種別に定められた「みなし仕入率」を使って簡易計算(選択制)
インボイス制度と2割特例
2023年10月から始まったインボイス制度により、課税事業者でないと消費税の仕入税額控除が認められないケースが増加しています。これにより、多くの免税事業者がインボイス発行事業者への登録を進めています。
ただし、インボイス制度の経過措置として、2割特例(売上の2割を消費税として納税)が用意されており、納税額の簡易化が可能です。
固定資産税
固定資産税は、土地・建物・償却資産といった不動産などを保有している場合に課される地方税です。
土地・建物を保有する場合の注意点
個人事業主が事業用に建物や土地を所有している場合、固定資産税が毎年課税されます。市町村が固定資産評価額を基に計算し、納付書を送付してきます。
- 納付時期:年4回(通常4月、7月、12月、翌年2月など)
- 税率:標準1.4%
また、事業用の資産であれば、固定資産税を経費に計上できる可能性もあります。
国民健康保険料・国民年金
個人事業主は会社員と異なり、自身で健康保険と年金に加入する必要があります。代表的なのが、国民健康保険と国民年金です。
所得に応じた保険料の目安
- 国民健康保険料:前年所得に応じて自治体ごとに決定。年収300〜400万円程度で年間30〜50万円の負担になることもあります。
- 国民年金保険料:2025年度は月額約16,980円(年額約203,760円)が標準。
保険料は原則として自分で納付しなければならず、未納状態が続くと給付制限のリスクが生じます。なお、保険料も条件を満たせば社会保険料控除として、所得税や住民税の軽減につながります。
参考:個人事業主の税金はいくらかかる?種類と金額の目安、節税のコツを解説
年収別に見る税金の目安額【シミュレーション付き】

個人事業主として活動するうえで、年収(売上)に応じてどれくらいの税金が発生するのかをあらかじめ把握しておくことはとても重要です。特に、初めて確定申告をする方や、節税を意識して事業計画を立てたい方にとって、税負担の目安を知っておくことは経営管理の基本といえるでしょう。
ここでは、年収(事業の売上)に応じた所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険料の目安を簡易的にシミュレーションし、個人事業主がどの程度の税金を支払うことになるのかをわかりやすく解説します。
※本シミュレーションは、青色申告特別控除(65万円)および基礎控除(48万円)を適用し、事業経費を売上の40%と仮定したモデルです。実際の税額は各種控除や家族構成、自治体の保険料率などによって異なりますので、あくまで参考としてご活用ください。
年収100万円〜1,000万円のケース別比較
以下に、年収ごとの税金の目安額を個別に解説します。
年収100万円の場合
- 必要経費:40万円
- 所得(課税前):60万円
- 各種控除合計:113万円(基礎控除+青色申告特別控除)
→課税所得:0円(非課税)
所得税・住民税・個人事業税は発生せず、国民健康保険料・年金保険料のみが発生します。実質的な税負担はほぼゼロに近いです。
年収200万円の場合
- 所得:約120万円
各種控除を差し引くと課税所得が数万円に抑えられ、所得税も数千円〜1万円程度。住民税は均等割が中心で、個人事業税は非課税。
年収300万円の場合
- 所得:約180万円
- 課税所得:約70万円
→ 所得税:約3,500円+復興特別所得税
→ 住民税:約5〜6万円
→ 国民健康保険料:約25万円(地域差あり)
年収400万円の場合
- 所得:約240万円
- 課税所得:約130万円
→ 所得税:約6,500円+復興特別所得税
→ 住民税:約10万円
→ 個人事業税:非課税または軽微(290万円未満)
→ 保険料:約30万円前後
年収500万円の場合
- 所得:約300万円
- 課税所得:約187万円
→ 所得税:約9万円+復興特別所得税
→ 住民税:約14〜15万円
→ 個人事業税:約5,500円
→ 保険料:約35万円前後
年収600万円の場合
- 所得:約360万円
- 課税所得:約240万円
→ 所得税:約14万円
→ 住民税:約18〜20万円
→ 個人事業税:約10万円
→ 保険料:約40万円前後
年収700万円の場合
- 所得:約420万円
- 課税所得:約292万円
→ 所得税:約19万円
→ 住民税:約22万円
→ 個人事業税:約13万円
→ 保険料:約45万円前後
年収800万円の場合
- 所得:約480万円
- 課税所得:約345万円
→ 所得税:約25万円
→ 住民税:約26万円
→ 個人事業税:約16万円
→ 保険料:約50万円前後
年収900万円の場合
- 所得:約540万円
- 課税所得:約397万円
→ 所得税:約31万円
→ 住民税:約30万円
→ 個人事業税:約20万円
→ 保険料:約55万円前後
年収1,000万円の場合
- 所得:約600万円
- 課税所得:約450万円
→ 所得税:約38万円
→ 住民税:約35万円
→ 個人事業税:約23万円
→ 保険料:約60万円前後
参考:個人事業主が払う税金はいくら?計算方法と節税のポイントを解説
年収別の納税額早見表
※保険料は住民税や所得額に基づいて自治体ごとに異なります。上記は一般的な目安です。
このように、個人事業主の税金負担は年収が上がるほど比例して増加していきます。ただし、節税策や控除の活用次第で、実質的な負担を大きく軽減することも可能です。
節税の基本戦略とポイント

個人事業主にとって、売上が上がれば上がるほど税金の負担は大きくなるものです。しかし、正しい知識と対策を講じれば、無理なく納税しつつも節税によって手元資金を守ることができます。ここでは、個人事業主が実践すべき基本的な節税戦略とポイントについて詳しく解説します。
税金の種類ごとに対策が異なるため、個人事業主として納める税金を正しく理解したうえで、効果的な節税方法を組み合わせて活用しましょう。
経費を正しく計上する
節税の第一歩は、必要経費を適切に計上することです。個人事業主の場合、事業に関連する支出は「必要経費」として所得から差し引くことができるため、課税所得を大幅に抑えることが可能です。
例えば、次のような支出が経費に該当します。
- 仕事用のパソコンやスマートフォン
- 打ち合わせ時の交通費や飲食代
- 家賃(自宅兼事務所の場合は按分が必要)
- 電気代や水道光熱費(事業利用分のみ)
- セミナー参加費や書籍代、通信費
重要なのは、「領収書をしっかり保管し、帳簿に正確に記録すること」です。また、プライベートとの線引き(家事按分)も忘れずに行いましょう。経費を漏れなく計上すれば、それだけ課税対象の所得を減らすことができ、所得税・住民税・個人事業税の節税につながります。
所得控除・税額控除をフル活用する
税金の軽減には「控除制度」の活用も欠かせません。控除には大きく分けて以下の2種類があります。
- 所得控除:課税所得を減らす
- 税額控除:計算された税額そのものを減らす
主な所得控除には以下のようなものがあります。
- 基礎控除(48万円)
- 配偶者控除・扶養控除
- 社会保険料控除(国民年金・国保など)
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 医療費控除・セルフメディケーション税制
また、税額控除には以下のような制度があります。
- 住宅ローン控除(条件付き)
- 寄付金控除(ふるさと納税など)
- 中小企業者等の設備投資に対する特例税額控除
これらの控除は、確定申告時に正しく申告することで、個人事業主の税負担を合法的に大きく軽減することができます。
参考:個人事業主が支払う税金の種類は?いくら支払うかの計算方法や節税対策を解説
青色申告を選択するメリット

個人事業主が取り入れるべき最も代表的な節税策が、「青色申告」の活用です。一定の帳簿付けと申請手続きを行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 青色申告特別控除:最大65万円の控除
- 家族への給与を経費にできる(専従者給与)
- 赤字の繰越(最大3年間)
特に、65万円の控除は非常に大きく、課税所得を抑えるうえで強力な手段となります。白色申告では得られないメリットが多いため、事業規模が小さくても青色申告を検討する価値は十分にあります。
青色申告を行うには、開業後2カ月以内または青色申告を行いたい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
小規模企業共済・iDeCoなどの活用
将来の備えと節税を両立できる制度として、次の2つの活用もおすすめです。
小規模企業共済
中小企業基盤整備機構が提供する制度で、掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除対象になります。月額1,000円〜7万円まで自由に設定でき、退職時には共済金として受け取れます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
個人事業主は、年間81.6万円(68,000円/月)まで掛金を拠出でき、全額が所得控除の対象となります。将来の年金対策にもなり、長期的な資産形成と節税を両立する手段として非常に有効です。
これらの制度はどちらも節税+老後資金の確保という観点で活用されており、特に所得が高くなってきた個人事業主には強くおすすめされます。
法人化による節税の可能性
ある程度の売上規模に達した場合は、法人化(会社設立)による節税効果を検討するのもひとつの方法です。
法人化により得られる主なメリットは以下の通りです。
- 法人税の方が所得税より税率が低い場合がある
- 役員報酬として給与所得控除が使える
- 家族への給与支払いが柔軟になる
- 経費にできる範囲が拡大
- 利益の繰越が可能(最長10年)
一方で、法人化には設立費用や事務コスト、社会保険の加入義務といったデメリットもあります。一般的に「年間所得が800万円〜1,000万円を超えると法人化のメリットが出てくる」と言われていますが、具体的なタイミングは税理士など専門家への相談をおすすめします。
個人事業主が取り組むべき節税対策は、「正しく経費を計上する」「控除を活用する」「青色申告に切り替える」といった基本をおさえたうえで、収入規模に応じて共済制度の活用や法人化も視野に入れることが重要です。
税金の種類や課税方法を理解したうえで、毎年の確定申告を計画的に進めることで、賢く税負担を軽減し、事業資金を効率的に活用できるようになります。
参考:個人事業主が納める税金の種類は?計算方法や節税対策を解説
納税のタイミングと支払い方法

個人事業主にとって、税金の種類や金額だけでなく、「いつ、どうやって納めるか」を把握しておくことも非常に重要です。納税のタイミングを見逃すと、延滞税や加算税といったペナルティが発生するおそれがあるため、正確なスケジュール管理と効率的な支払い手段を選択することが求められます。
ここでは、代表的な税金ごとの納付スケジュールと、便利な納税方法について解説します。
各税金の納付スケジュール
以下は、個人事業主が関わる主要な税金の納付スケジュールです。
- 所得税(+復興特別所得税)
対象期間:1月1日~12月31日
申告・納付期限:翌年2月16日〜3月15日
※延納する場合は5月31日までに第二期分を納付 - 住民税
前年の所得に基づき計算され、6月頃に納付書が届きます。納付は年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分割可能です。 - 個人事業税
対象期間:前年の1月1日~12月31日
納付通知書が8月頃に届き、納付は年2回(8月と11月)に分けて行います。 - 消費税
対象期間:課税期間(通常は1月〜12月)
申告・納付期限:翌年3月31日
※課税事業者のみ対象。延納制度あり。 - 固定資産税
年4期に分けて納付(多くの自治体で4月、7月、12月、翌年2月) - 国民健康保険料・国民年金保険料
市区町村からの通知により、毎月支払い(年払いも可)
このように、税金の種類ごとに異なるタイミングで納付が必要になります。事業の資金繰りにも影響するため、早めにスケジュールを整理しておくことが大切です。
クレジットカード納税や口座振替の活用
納税の方法は、従来の銀行窓口やコンビニ支払いに加えて、クレジットカードや口座振替、電子納税(e-Tax)といった利便性の高い手段が利用可能です。
クレジットカード納税のメリット
- 24時間いつでも手続き可能
- 手持ちの資金がなくても納税できる
- ポイントやマイルが貯まる(ビジネスカード活用にもおすすめ)
ただし、クレジットカード納税には決済手数料がかかる点に注意しましょう。
口座振替のメリット
- 手続きが一度で済み、納期限を忘れる心配がない
- 確定申告後に自動引き落とし(所得税:4月中旬、消費税:4月下旬)
事前の手続きが必要ですが、継続的に利用することで納税忘れの防止にもつながります。
このほか、e-Taxや地方税共通納税システム(eLTAX)を使えば、オンライン上で申告から納付まで完結させることも可能です。特に青色申告を行っている個人事業主にとっては、電子申告によって最大65万円の特別控除が受けられるため、電子納税との相性は非常に良いと言えます。
参考:個人事業主にかかる税金とは?種類・税率・納税方法と節税対策を解説
まとめ:税金の種類と計算方法を正しく理解しよう

個人事業主として安定的に事業を続けていくには、自身が納めるべき税金の種類を正しく理解し、それぞれの計算方法や納付タイミングを把握しておくことが欠かせません。
所得税・住民税・個人事業税・消費税・固定資産税など、個人事業主が関わる税金は多岐にわたります。これらは事業所得や売上の状況、控除制度の活用によって大きく変動するため、事前にシミュレーションし、節税対策を講じることが求められます。
とくに、青色申告の活用や、経費・控除の適切な計上、小規模企業共済やiDeCoへの加入といった対策は、合法的かつ効果的に税負担を軽減する方法として有効です。また、法人化による節税も、一定の収入規模に達した個人事業主にとっては有力な選択肢となるでしょう。
納税のスケジュールや支払い方法についても、最新の制度やツールを活用することで効率化が可能です。クレジットカード納税や電子申告、口座振替などを上手に活用し、「正しく、確実に、無理なく」納税する体制を整えることが成功の鍵です。
税金の知識は、個人事業主としての経営力そのものです。制度を理解し、戦略的に対応することで、より健全で持続的な事業運営を目指しましょう。