個人事業主におすすめの銀行口座10選!事業用口座を解説するメリットや選び方を解説

個人事業主として事業を始めたら、プライベートとは別に「事業用の銀行口座」を持つことが重要です。収支の管理がしやすくなり、確定申告や帳簿付けもスムーズに行えるようになります。しかし、銀行口座にはネット銀行から店舗型銀行までさまざまな種類があり、選び方を間違えると手数料や使い勝手に差が出ることも。本記事では、個人事業主におすすめの銀行口座10選を紹介し、事業用口座を持つメリットや選び方のポイントをわかりやすく解説します。
個人事業主に銀行口座は必要?その理由を解説

個人事業主として事業を始めるとき、「銀行口座は開設すべき?」と迷う方も多いでしょう。結論から言えば、プライベートと分けて事業用の銀行口座を開設するのは必須レベルでおすすめです。
開業当初は「まだ収入も少ないから、個人の口座でいいかな」と考えてしまいがちですが、後々の会計処理や確定申告、取引先との信頼関係の構築を考えると、早い段階で銀行口座を事業用に切り分けておくことが大きなメリットになります。
本記事では、個人事業主が銀行口座を開設すべき理由を、2つの視点から詳しく解説します。
なぜ事業用とプライベート口座を分けるべきなのか
個人事業主がプライベートの銀行口座と事業用の銀行口座を分けるべき理由は、主に以下の3つです。
1. 資金管理がしやすくなる
事業用とプライベート用の入出金が混在していると、帳簿の記録や収支の把握が非常に煩雑になります。例えば、どの入金が売上で、どの支出が経費なのかを都度確認しなければならず、確定申告の際に大きな手間となります。
銀行口座を分けておけば、事業に関わる入出金だけが記録されるため、収支やキャッシュフローの把握が圧倒的に楽になるのです。
2. 確定申告・帳簿作成がスムーズに
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトと銀行口座を連携すれば、自動で仕訳が行えるようになります。このとき、事業用の口座であれば「すべての入出金が経理対象」と考えやすく、ミスや漏れも防げます。プライベート用と共用していると、ソフトに反映される情報の中から「経費かどうか」の選別が必要となり、手間もミスも増加します。
3. 取引先からの信用につながる
請求書に記載されている振込先が「○○太郎」などの個人口座名義だと、相手によっては不安を感じることがあります。一方で、「屋号+名前」の口座名義であれば、事業者としての信頼感が高まるだけでなく、法人と同様の感覚でスムーズな取引が可能になります。
とくにBtoBビジネスにおいては、個人名のみの口座は避けるべきです。見積書や請求書の名義と、銀行口座の名義が一致していると、支払い側の管理もスムーズになります。
参考:個人事業主におすすめの銀行口座は? 事業用口座を開設すべき理由や選び方を解説
屋号付き口座とは?通常口座との違い

「銀行口座は分けたいけど、法人じゃないから屋号名義では開設できないのでは?」と思っている方も多いかもしれません。結論から言えば、個人事業主でも屋号付き口座は開設可能です。
通常の個人口座
一般的に使われる銀行口座は、「山田太郎」といった個人名義の口座です。個人事業主としてこの口座を使うと、請求書などの記載と一致せず、前述のように信頼性の観点でマイナスになりがちです。
屋号付き口座とは?
屋号付き口座とは、「〇〇デザイン 山田太郎」「山田太郎(〇〇デザイン)」といった形式で、屋号が名義に含まれた銀行口座のことです。これにより、事業者らしさ・信頼性を強く印象づけることができるのが最大のメリットです。
開設の条件
屋号付き口座を開設するには、主に以下の書類が必要です。
- 開業届の控え(屋号の記載があるもの)
- 本人確認書類(免許証やマイナンバーカードなど)
- 屋号の記載された請求書や領収書など(場合による)
多くの銀行で、屋号付き口座の開設には「屋号を記載した開業届の控え」が必須とされています。つまり、屋号付き口座を作りたいなら、まず開業届を提出することが前提条件です。
注意点
一部の銀行では屋号付き口座の取り扱いがない、または厳しい審査があるため、屋号付き口座の開設に対応している銀行を選ぶことが重要です。ネット銀行ではGMOあおぞらネット銀行や楽天銀行、PayPay銀行などが屋号対応に積極的で、オンラインでの手続きもスムーズです。
個人事業主として事業を始めたばかりの方こそ、信頼性・効率性・将来の拡張性を考慮して、早い段階で銀行口座を開設し、事業用と分けて運用するのがおすすめです。
参考:個人事業主は屋号付き口座の開設が必要?個人用と分けるメリットも解説
個人事業主が銀行口座を持つメリット

個人事業主として事業を運営していく中で、銀行口座を開設することには多くのメリットがあります。とくに「事業用」として分けて口座を持つことは、経理・税務・信頼性の向上など、実務面で非常に重要な意味を持ちます。
ここでは、個人事業主が銀行口座を開設することで得られる代表的なメリットを3つに分けて解説します。これから開業する方や、まだ事業用口座を用意していない方は、ぜひ参考にしてください。
お金の流れが明確になり資金管理がしやすい
個人事業主が銀行口座を開設する最大のメリットのひとつが、「お金の流れが明確になる」という点です。事業とプライベートの支出・収入を一つの口座で管理していると、どの入出金がどちらに該当するのかを毎回仕分けする必要があります。
たとえば以下のような状況がよく起こります。
- 売上の振り込みがあっても、それが副収入なのか本業のものか不明
- クレジットカードの引き落としにプライベートの支出が混ざっていて、帳簿に書けない
- 経費にするつもりの支払いが、生活費と一緒に処理されてしまう
こうした混在は、資金の流れを正確に把握する障害となり、結果としてキャッシュフローの管理ミスや資金繰りの悪化につながりかねません。
一方で、事業専用の銀行口座を開設すれば、以下のような管理が容易になります。
- すべての売上入金と経費支出をこの口座で完結できる
- 残高を見れば即座に事業資金の状況が把握できる
- クラウド会計ソフトとの連携で仕訳も自動化できる
こうした口座の分離は、毎月の収支確認や年度末の決算業務を効率化するだけでなく、資金繰りや経営判断にも活かしやすくなります。事業規模が拡大するほどこの差は大きくなります。
確定申告・帳簿作成がスムーズになる
個人事業主にとって避けられないのが毎年の「確定申告」です。とくに青色申告を行う場合、帳簿の作成や記帳作業が求められ、事業のすべての収支を正確に記録しなければなりません。
このとき、銀行口座がプライベートと混在していると、次のような問題が発生します。
- 記帳時に「これは事業かプライベートか」の判断に時間がかかる
- 間違えてプライベート支出を経費として記録してしまう
- 青色申告特別控除の条件(複式簿記+帳簿提出)が満たせず、控除額が減少する
一方で、事業専用の銀行口座を開設しておけば、入出金の記録がすべて「事業用」として扱えるため、帳簿への反映がスムーズになります。たとえばクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生など)を導入すれば、銀行と連携して以下のような自動化が可能です。
- 入金情報が自動的に「売上」として取り込まれる
- 出金情報が「仕入」「交通費」「通信費」などとして候補表示され、選択するだけで記帳完了
- 月次・年次の帳簿がほぼ自動で作成され、青色申告65万円控除にも対応可能
また、帳簿の正確性が上がることで、税務調査のリスクにも備えやすくなるという副次的な効果もあります。とくにインボイス制度の導入後は、帳簿と入出金の整合性が重視されており、口座の明確な区分はリスク管理上も有効です。
参考:個人事業主におすすめの銀行口座9選!事業用口座の選び方や屋号付きネット銀行口座のデメリット
取引先や顧客からの信頼が得られる

「個人名義の口座を請求書に書いていて大丈夫?」と心配になったことはありませんか?事業規模や業種にもよりますが、法人や企業と取引する際には、屋号付きの銀行口座を利用することで信頼性が大きく高まります。
請求書に記載された振込先が「〇〇デザイン事務所 山田太郎」となっていれば、受け取る側は「この人はきちんと事業をしている」と認識します。一方で、名義が単に「山田太郎」となっていると、フリーランスや副業での片手間のような印象を持たれる可能性もあるのです。
また、企業によっては「屋号付き口座以外への振込は不可」とするところもあります。BtoB取引が中心の場合、屋号付き口座は事実上の必須条件とも言えるでしょう。
このように、個人事業主が信頼を得てビジネスを拡大するうえで、銀行口座の整備は非常に大きな役割を果たします。加えて、開業届を提出していること(=正規の事業者であること)を証明する手段にもなり、契約書や補助金申請時の公的書類としても活用可能です。
個人事業主が銀行口座を開設することには、単なる利便性だけでなく、経営管理・税務対応・信頼構築といった多面的なメリットがあります。事業規模に関わらず、早い段階での口座開設と適切な運用が、今後のビジネスの安定と成長につながるでしょう。
参考:個人事業主口座は開設すべき?4つのメリット&デメリット
銀行口座の種類と特徴

個人事業主が事業用の銀行口座を開設する際には、どの金融機関を選ぶかが非常に重要です。銀行口座と一口に言っても、「店舗型銀行」「ネット銀行」「信用金庫・地方銀行」など複数の選択肢があり、それぞれに特徴があります。
事業スタイルや取引の頻度、資金の出入り、経費処理の方法によって最適な銀行口座は異なるため、口座開設の前にそれぞれの特徴をしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、主な銀行口座の種類とそのメリット・デメリットを紹介します。
店舗型銀行とネット銀行の違い
まず、個人事業主にとって代表的な選択肢となるのが、「店舗型銀行」と「ネット銀行」です。どちらにもメリット・デメリットがあるため、自身の事業に合ったタイプを選びましょう。
店舗型銀行とは?
三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行など、全国に支店やATM網を持つのが店舗型銀行(メガバンク)です。実店舗での手続きが可能で、法人・個人事業主の対応にも慣れています。
メリット
- 対面での相談や手続きが可能
- 担当者が付いて融資や資金調達の相談がしやすい
- 公的機関・大手企業との信頼性が高い
デメリット
- 手数料が高め(振込・ATM利用など)
- 屋号付き口座の開設に時間や書類が多くかかることも
- オンライン機能がやや弱い場合もある
おすすめの人
- 対面で相談したい、融資も検討している個人事業主
- 安定性や信頼性を重視する取引先が多い事業者
ネット銀行とは?
楽天銀行、PayPay銀行、住信SBIネット銀行、GMOあおぞらネット銀行など、実店舗を持たずインターネット上で手続きが完結するのがネット銀行です。最近では個人事業主向けのサービスを拡充しており、屋号付きの銀行口座の開設にも積極的です。
メリット
- 24時間365日、スマホ・PCから利用可能
- 振込手数料や口座維持費が安い、あるいは無料
- 開設までが早く、最短即日口座開設が可能な銀行も
- 会計ソフトやクラウドサービスと連携しやすい
デメリット
- 実店舗がないため、対面のサポートが受けにくい
- 現金の入金・出金がやや不便(コンビニATMが中心)
- 信用力やブランド力で店舗型に劣る場面もある
おすすめの人
- 低コストでスピーディに銀行口座を開設したい個人事業主
- ネットで完結できる事業(EC、ライター、デザイン業など)
比較のまとめ
ネット銀行は近年、個人事業主にとって非常に魅力的な選択肢になっており、特に開業直後の資金繰りや会計管理を考えると利便性は抜群です。一方で、顧客対応や大口取引を見据えるなら店舗型銀行との併用も検討しましょう。
参考:個人事業主の口座開設におすすめの銀行8選!それぞれの特徴や手数料を徹底比較
信用金庫・地方銀行という選択肢も

見落とされがちですが、信用金庫や地方銀行も個人事業主にとって有力な銀行口座の選択肢です。特に地域密着型の取引や、将来的な融資・資金調達を視野に入れる場合、こうした金融機関の活用が効果的です。
信用金庫の特徴
信用金庫は非営利の金融機関で、地域の中小企業や個人事業主を主要な顧客層としています。開業間もない事業者にも親身に対応してくれるケースが多く、「実績がないから審査に通らない」といった不安がある人にはおすすめです。
メリット
- 担当者が付きやすく、融資やアドバイスを受けやすい
- 開業間もない個人事業主にも柔軟に対応
- 地元企業とのネットワークが強い
デメリット
- 地域外では利用できない場合がある
- ネットバンキング機能が限定的なことも
- 屋号付き口座開設にやや時間がかかることもある
おすすめの人
- 地域密着型のビジネスを展開している人
- 将来的に店舗展開や借入も検討している人
地方銀行の特徴
地方銀行も信用金庫と同様に、地域に根差した金融サービスを提供しています。メガバンクよりもフットワークが軽く、地域内の事業者であれば融資やビジネスマッチングの機会も得られやすいです。
おすすめポイント
- 担当者による親身なサポート
- 店舗での相談がしやすい
- 信用金庫よりネット対応が進んでいることも
ただし、全国対応の利便性を重視するならネット銀行との併用が望ましいでしょう。
個人事業主が銀行口座を開設するにあたっては、自分のビジネスモデルや今後の展望に合った銀行を選ぶことが何より重要です。ネット銀行の利便性を活かしつつ、対面対応が必要な場面では店舗型や信用金庫を活用するなど、複数の口座を目的別に使い分けるのもおすすめです。
参考:個人事業主・フリーランスにおすすめの銀行口座5選 | 屋号付き・事業用口座開設のメリットとは
個人事業主におすすめの銀行口座10選【2025年版】

個人事業主として事業用の銀行口座を開設する際、選ぶべき銀行は慎重に見極める必要があります。ネット銀行、メガバンク、信用金庫など選択肢は多く、それぞれに異なるメリットがあります。
ここでは2025年現在、利便性・コスト・屋号付き対応・事業支援機能などを総合的に評価し、個人事業主におすすめの銀行口座を厳選して10行ご紹介します。
1. GMOあおぞらネット銀行
手数料の安さと事業支援機能が充実した、個人事業主に大人気のネット銀行。
- 屋号付き口座の開設が可能
- 振込手数料は業界最安水準(同行宛:無料、他行宛:145円〜)
- 最大1%キャッシュバックのデビットカードあり
- 「つかいわけ口座」で資金管理を簡単に分離
- 会計ソフトとの連携もスムーズ(freee、マネーフォワード対応)
とくに初めて事業用口座を持つ個人事業主にとって、コストパフォーマンスと開設スピードの両方を満たす最有力候補です。
2. 楽天銀行
圧倒的なユーザー数と楽天ポイント連携が魅力のネット銀行。
- 屋号付き口座の開設に対応(開業届があればOK)
- 楽天ポイントが貯まる・使えるビジネスデビット付き
- ATM入出金は全国のコンビニで可能
- ビジネスサポート機能が豊富(給与振込・振込予約など)
- 楽天証券や楽天カードとの連携にも強み
日常的に楽天サービスを使う個人事業主や、小規模ビジネスで経費管理とポイント活用を両立したい方におすすめです。
3. PayPay銀行
スマホ完結の便利さとPayPay連携が強みの個人事業主向けネット銀行。
- 口座開設はスマホから数分で申請可能
- 振込手数料は145円と安価(他行宛)
- PayPayへの連携で売上資金の即時反映も
- 屋号付き口座にも対応
- ユーザビリティの高いアプリで資金管理がしやすい
特にスマホで完結する決済環境や送金処理を求める個人事業主には最適。副業・小規模事業者にも人気です。
4. 住信SBIネット銀行
無料振込回数の多さとセキュリティの高さが魅力。
- 条件付きで振込手数料が毎月最大20回無料
- 他行宛も含めたATM利用料が最大20回無料
- スマホアプリのセキュリティレベルが高い(生体認証対応)
- 法人口座レベルの高度な資金管理機能あり
- ビジネス用デビットカード付帯
ランニングコストを抑えて安定運用したい個人事業主におすすめです。会計ソフトや請求管理ツールとの連携も良好。
5. あおぞら銀行BANK支店
普通預金金利が0.2%と、業界トップクラスの高金利口座。
- 金利0.2%(2025年4月時点)で資産運用にも活用可能
- キャッシュカードはセブン銀行ATMで利用可能
- 屋号付きの名義での利用も対応可能
- 振込・ATM利用料も他行に比べ安価
事業資金を少しでも効率よく運用したい個人事業主に最適な選択肢です。ネット専用支店ながら、サポート体制も整っています。
6. 三菱UFJ銀行
日本最大手のメガバンクであり、圧倒的な信用力が魅力。
- 屋号付き口座の開設に対応(書類審査はやや厳しめ)
- 全国に店舗・ATMがあり利便性が高い
- 融資や補助金・公的支援制度への対応力も高い
- 会計士・税理士と連携したサービスも提供
大手企業との取引がある個人事業主や、将来的に法人化を見据える方におすすめです。
7. 三井住友銀行
ビジネス特化の「ビジネスオーナーズ」カードが人気の理由。
- 屋号付き口座の開設が可能(開業届が必要)
- 三井住友カード ビジネスオーナーズとの相性が抜群
- 顧客対応やサポート体制が整っており、対面相談も可能
- 銀行・カード一体の口座管理がしやすい
中長期的に事業を安定運営したい個人事業主におすすめ。決算期のキャッシュフロー管理にも強いです。
8. みずほ銀行
法人並みの手厚いサービスを個人事業主でも受けられる、老舗の信頼感。
- 屋号付き口座を開設可能(一定の事業実態が求められる)
- 地方自治体や補助金申請との連携に強い
- 公共料金・税金の納付がスムーズ
- ビジネスローンや資金調達支援も整備
公的取引が多い事業主や、信頼重視の業種(士業など)には特におすすめ。サポートや相談体制も手厚いです。
参考:個人事業主に事業用口座は必要?開設のメリットや口座開設の手順も解説
9. ゆうちょ銀行
全国どこでも利用できる安心感と、ATMネットワークの圧倒的な強み。
- 屋号付き口座の開設は個別相談で対応(地域や支店により異なる)
- 全国の郵便局・ATMでのアクセスが容易
- 現金取引の多い業種に強み
- 高齢の顧客が多い業種にも信頼されやすい
地方や対面中心のビジネスを展開する地域密着型の個人事業主におすすめです。地方都市での信頼性は高いです。
10. 城南信用金庫
地域密着で個人事業主に親身に対応してくれる信用金庫の代表格。
- 対面対応で屋号付き口座の開設も柔軟に相談可能
- 開業直後の個人事業主にもフレンドリーな対応
- 担当者によるフォロー体制が整っている
- 融資や補助金サポートも積極的
地域で長く事業を続けたい個人事業主や、金融機関と伴走して成長したい人におすすめです。城北・横浜・千葉など他の信用金庫も選択肢に入ります。
これらの銀行は、個人事業主のさまざまなニーズに応えてくれる信頼できる金融機関です。「振込手数料を抑えたい」「屋号付き口座を作りたい」「資金管理を楽にしたい」など、自分の課題に合った銀行口座を選び、早めに開設することで経理効率や信用力が大きく向上します。
銀行口座を選ぶときのチェックポイント

個人事業主として銀行口座を開設する際は、ただ「屋号付き口座が作れるかどうか」だけで選ぶのは不十分です。ビジネスでの入出金が頻繁に発生する以上、利便性やコスト、業務効率化への対応力なども加味して、最適な銀行を選ぶことが大切です。
この章では、個人事業主が銀行口座を選ぶ際に注目すべき「4つのチェックポイント」を解説します。これから銀行口座を開設しようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
振込・ATM・口座維持などの手数料
最初に確認すべきなのが、各種手数料のコストです。個人事業主にとって、銀行口座にかかる手数料は地味ながら積み重なると大きな負担になります。以下のようなポイントを事前に比較しておきましょう。
振込手数料
- 同行宛:無料または50〜150円程度が相場
- 他行宛:145円〜300円前後(ネット銀行は安価な傾向)
たとえば、GMOあおぞらネット銀行や住信SBIネット銀行では、月に一定回数まで振込手数料が無料になるプランがあります。外注先や取引先に定期的な支払いがある方は、ここを抑えるだけでもかなりのコスト削減になります。
ATM利用手数料
- コンビニATMでの出金が有料となる銀行も多い
- ネット銀行では無料回数を設けているケースが多い(例:住信SBIネット銀行)
事業用で現金を多く扱う職種の場合は、ATMの利用手数料や対応機種(セブン銀行・イオン銀行など)も事前に確認する必要があります。
口座維持手数料
- 基本的に無料のところが多いが、一部のメガバンクでは条件付き無料の場合あり
コスト意識の高い個人事業主にとって、振込やATM利用を含めたトータルコストの安さは、口座選びの大きな判断基準になります。
屋号付き口座の対応可否
個人事業主が銀行口座を開設する際、屋号付き口座に対応しているかどうかは極めて重要です。
屋号付き口座のメリット
- 請求書と銀行口座の名義を一致させられる
- 取引先・顧客からの信頼度が高まる
- 会計処理や確定申告時の証明書類としても使いやすい
屋号付き口座を開設するためには、「開業届の控え(屋号の記載あり)」が必要になるのが一般的です。また、銀行によっては追加で「屋号記載の請求書」「納税証明書」「事業用のホームページURL」などを求められるケースもあります。
屋号付き口座対応のおすすめ銀行
- ネット銀行:GMOあおぞらネット銀行、楽天銀行、PayPay銀行などは比較的柔軟
- メガバンク:三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行などは対応可能だが書類や審査が厳しい
- 信用金庫:地域密着で柔軟な対応が期待できる場合もあり
屋号を使って活動している個人事業主であれば、対応の可否だけでなく、開設のしやすさ(審査条件や必要書類)まで含めて検討する必要があります。
ネットバンキングやアプリの使いやすさ
近年では、銀行の窓口に足を運ばずに、スマートフォンやPCで完結するネットバンキングの利便性が、個人事業主の業務効率に大きく影響しています。
チェックすべきポイント
- 残高確認、振込、履歴の閲覧が直感的にできるか
- 入出金の通知がリアルタイムで届くか
- 振込先の登録や振込予約機能があるか
- 振込限度額の設定やセキュリティ機能が整っているか
とくにPayPay銀行や住信SBIネット銀行はスマホアプリの完成度が高く、通知機能や生体認証にも対応しており、利便性と安全性の両立が図られています。
一方で、メガバンクや地方銀行はアプリの操作性にバラつきがあり、クラウド会計やAPI連携のしやすさに差が出ることも。事業の性質上、出先や外出先でスマホを使って操作することが多い方は、アプリの使い勝手も重視しましょう。
クラウド会計ソフトとの連携可否
個人事業主が帳簿や確定申告を効率よく行うには、銀行口座とクラウド会計ソフトの連携はもはや必須レベルです。
freee、マネーフォワード、弥生など多くのクラウド会計ソフトでは、対応している銀行口座と連携することで、自動で入出金を取り込み、仕訳の候補まで提示してくれるため、日々の記帳が劇的に楽になります。
対応がスムーズな銀行(2025年現在)
- GMOあおぞらネット銀行
- 楽天銀行
- PayPay銀行
- 住信SBIネット銀行
- 三井住友銀行、三菱UFJ銀行も一部対応
口座の連携には「API連携」と「CSVファイル連携」の2種類がありますが、API連携対応であればリアルタイムに近い形で自動取得が可能です。CSV形式は手動アップロードが必要となるため、効率面ではやや劣ります。
開設を検討している銀行が、自分が使いたい会計ソフトと連携しているかどうかを事前に確認することで、確定申告や帳簿作成の手間を大幅に削減できます。
銀行口座の開設は一度行うと、長く使い続けるものです。あとから「振込手数料が高い」「アプリが使いづらい」「会計ソフトと連携できない」といった問題が発生しないよう、上記のチェックポイントを総合的に判断して、最適な銀行を選ぶことが重要です。
参考:フリーランス・個人事業主の事業用口座おすすめ銀行9選!選び方やメリット
銀行口座を開設する際に必要な書類

個人事業主が銀行口座を開設するには、いくつかの必要書類を事前に準備しておくことが不可欠です。とくに屋号付きの銀行口座を希望する場合は、一般的な個人口座よりも求められる書類が多く、場合によっては審査も発生します。
ここでは、銀行口座開設時に求められる代表的な書類とその注意点を、4つのカテゴリに分けて解説します。事前にチェックしておけば、スムーズに口座開設が進められるでしょう。
本人確認書類(運転免許証など)
銀行口座の開設では、本人確認書類の提示が必須です。これは犯罪収益移転防止法に基づく規定で、すべての銀行で共通して求められます。
有効な本人確認書類の例
- 運転免許証(住所変更がある場合は裏面も必要)
- マイナンバーカード
- パスポート(住所記載のページを含む)
- 健康保険証+補助書類(住民票など)
ネット銀行を利用する場合は、スマートフォンでの撮影やアプリ経由のアップロードで本人確認を完了できるケースも増えており、郵送や来店不要で開設できる銀行もあります。
開業届や確定申告書類
個人事業主が事業用の銀行口座を開設する際、特に屋号付き口座を希望する場合には、「開業届」または「確定申告書類」が必要になることがほとんどです。
代表的な提出書類
- 開業届(税務署に提出した「個人事業の開業・廃業等届出書」)の控え
- 所得税の確定申告書第一表の控え(青色申告・白色申告問わず)
開業届には「屋号」を記載する欄があるため、屋号付き口座を開設したい場合は、開業届に屋号を記入しておくことが必須です。税務署から返却される控えには、受領印または電子申告の受付番号が入っている必要があります。
また、確定申告書類を提出する場合は、直近の年度のものを用意しておくと信頼性が高まります。すでに開業から時間が経っている事業主はこちらを提出するケースもあります。
屋号の証明書類(領収書・契約書など)
一部の銀行では、屋号付き口座を開設する際に「屋号を実際に使っていることを証明できる書類」の提出を求められることがあります。これは、架空の屋号で口座を開設する行為を防ぐためです。
証明書類の例
- 屋号が記載された請求書・領収書
- 名刺・ホームページ・SNSアカウントのスクリーンショット
- 業務委託契約書・業務内容が記載された注文書など
特にネット銀行では、書面の提出を求めずにURLや画面キャプチャを送る形式もあります。事業実態を明示できる屋号関連の資料は事前に準備しておくとスムーズです。
印鑑やメールアドレス、電話番号の準備も
銀行口座を開設する際には、身元を証明する書類以外にも、日常的な連絡先や届出情報の整備が必要です。
必須の情報・物品
- 認印(実店舗で手続きする場合は持参が必要)
- 連絡用のメールアドレス(申込時の認証や通知に使用)
- 電話番号(SMS認証や本人確認の連絡に使われる)
印鑑については、屋号付き口座を開設する場合でも実印は不要なことが多く、認印で対応可能です。ただし、法人化を見据えて長く使う予定がある場合は、印鑑を統一しておくと便利です。
また、連絡先メールアドレスは銀行からの通知(振込完了、入金確認など)にも使われるため、業務専用のアドレスを用意しておくとプライベートとの混同を防げます。
以上のように、個人事業主が銀行口座を開設するためには、本人確認書類だけでなく、事業の実態や屋号の存在を示す複数の書類が求められるケースが多いです。とくにネット銀行は審査のスピードが早い一方で、提出不備があると口座開設に時間がかかる場合もあります。
参考:開業するなら新たに口座開設をしよう!個人事業主におすすめの銀行をご紹介
口座開設の流れとスムーズに進めるポイント

個人事業主として事業用の銀行口座を開設する際には、いくつかのステップを踏む必要があります。口座開設は一度行えば長く使い続けることになるため、流れを正しく把握し、スムーズに進められるよう準備しておくことが大切です。
ここでは、銀行口座の開設手順を3つのステップに分けて解説するとともに、個人事業主がつまずきやすいポイントやスムーズに開設するためのコツも紹介します。
STEP1:金融機関・口座タイプを決める
まず最初に行うべきは、「どの銀行で、どのタイプの口座を開設するか」を決めることです。個人事業主向けの銀行口座には、ネット銀行、メガバンク、信用金庫など複数の選択肢があり、それぞれに特徴があります。
金融機関の選び方のポイント
- 振込やATM手数料を抑えたいならネット銀行(例:GMOあおぞら、住信SBI、楽天など)
- 対面での相談や融資も視野に入れたいならメガバンク(例:三井住友、三菱UFJ、みずほなど)
- 地域密着での支援や付き合いを重視するなら信用金庫も選択肢
次に、屋号付き口座にするかどうかも重要な判断ポイントです。屋号付き口座は、取引先との信頼構築や経理上の名義統一の面で大きなメリットがあるため、特に事業名で活動している個人事業主にはおすすめです。
ネット銀行であれば屋号付きにも柔軟に対応していることが多く、開業届に屋号を記載していれば比較的スムーズに開設可能です。
STEP2:必要書類を準備して申し込み
開設する銀行と口座タイプを決めたら、次は申し込みに必要な書類の準備に移ります。スムーズに進めるためには、書類不備がないように事前確認を徹底することが重要です。
基本的な提出書類
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 開業届の控え(屋号の記載があるものが望ましい)
- 屋号を使っている証明資料(請求書、領収書、名刺、ホームページなど)
ネット銀行の場合、アプリやWebから書類の写真をアップロードして申し込みが可能です。一方、メガバンクや信用金庫の場合は、店頭での対面申し込みが必要なケースもあり、来店予約が必要なこともあるので注意しましょう。
申し込みフォームでは以下のような情報も入力が求められます。
- 氏名・住所・電話番号・メールアドレス
- 屋号・業種・事業内容
- 収入見込みや事業開始時期 など
正確な情報を入力することで、審査落ちのリスクや手続きのやり直しを防ぐことができます。
STEP3:審査完了後、キャッシュカードなどの受け取り
申し込みが完了すると、金融機関による審査プロセスが始まります。個人口座と比べて、個人事業主名義の口座は事業実態の確認が求められるため、所要日数は数日〜2週間程度が一般的です。
ネット銀行の場合は、最短即日での口座開設や、翌営業日から利用できるスピード対応もあります。ただし、書類不備や情報の誤りがあると審査がストップしてしまうため、事前準備が重要です。
審査完了後に受け取れるもの
- 口座番号の通知
- キャッシュカード(後日郵送)
- インターネットバンキングのログイン情報
口座が開設されれば、すぐに入出金・振込の利用が可能になります。ネット銀行であれば、スマホアプリをインストールすることで、すぐに利用開始できる環境が整います。
なお、キャッシュカードが届くまでに1週間ほどかかることが多いため、すぐに現金を引き出したい場合は事前に手段を確認しておきましょう。
スムーズに進めるためのポイントまとめ
- 開業届の控えは屋号を必ず記載し、控えには税務署の受領印または電子申告の受付番号が必要
- 書類はできるだけPDFや画像データで保存しておくと、複数銀行への申し込みにも対応しやすい
- Web申し込みでも、本人確認に時間がかかることがあるので余裕を持って準備
- 不明点は申請前にカスタマーサポートや店頭で相談しておくと安心
銀行口座の開設は、事業運営の基盤づくりの第一歩です。とくに個人事業主にとっては、資金管理・税務処理・信用構築のすべてに関わる重要な要素です。
参考:個人事業主は口座開設した方が良い?屋号付きのメリットを紹介
よくある質問

個人事業主が銀行口座を開設する際には、初めての経験で不安や疑問も多いものです。ここでは、よく寄せられる質問に対してわかりやすく回答していきます。
Q. 個人事業主は事業用口座を作らないとダメ?
必須ではありませんが、非常におすすめです。
法的に「事業用口座」の開設は義務づけられていませんが、事業用とプライベートの口座を分けることで資金管理・経理処理・信頼性のすべてが大幅に向上します。
とくに売上が増えたり取引先が増えてくると、事業用口座がないと帳簿の整合性が取りづらくなり、確定申告の際にミスや税務調査リスクが増える要因になります。
また、事業用として振込を受け取る口座が「個人名義のみ」だと、取引先によっては信頼面で不安を持たれる可能性もあるため、開業初期から事業用口座を持っておくことを強く推奨します。
Q. 屋号付き口座じゃないと取引できない?
業種や取引先によりますが、屋号付き口座は信頼性の面で有利です。
請求書や見積書の名義が「〇〇デザイン事務所」なのに、振込先が「山田太郎」など個人名義の銀行口座だと、違和感を持たれることがあります。特に法人や自治体との取引では、屋号付き口座の利用が前提とされることもあります。
一方、個人名義の通常口座でも取引自体ができないわけではありません。とはいえ、事業としての信用力や帳簿管理の明確化を考えると、屋号付き口座の開設はおすすめです。
Q. 開業前に口座開設することは可能?
基本的には開業後に「開業届」を提出してからでないと、屋号付き口座の開設はできません。
多くの銀行では、屋号付き口座を開設する際に「開業届の控え(屋号記載あり)」を求めます。つまり、正式に開業していることが証明できない限り、屋号付きでの銀行口座開設はできない仕組みです。
ただし、個人名義の通常口座であれば、開業前でも作ることは可能です。開業準備中に仮の取引口座が必要な場合は、個人口座を用意し、開業届提出後に改めて屋号付き口座を開設するのが一般的です。
Q. 法人口座との違いは何?
法人口座と個人事業主の銀行口座には、名義・手続き・信頼性などいくつかの違いがあります。
個人事業主は、あくまで「個人」の範囲での活動であり、税務上も個人扱いです。一方、法人は会社として独立した存在であるため、口座の扱いも一段上の信用力が求められるという点が大きな違いです。
参考:個人事業主が屋号付き銀行口座を開設!銀行比較・口座は分けるべき?
まとめ:事業用口座を整えて、個人事業主としての信用力アップを

銀行口座の開設は、個人事業主としてのスタートラインに立つための大切な一歩です。単にお金の出し入れをするためだけではなく、事業の信頼性・経理の効率化・将来的な資金調達の土台を整える行為でもあります。
特に「屋号付き口座」の開設は、請求書や帳簿と口座名義を一致させることができ、取引先からの信用獲得や会計処理の簡便化に直結します。
また、口座選びの際には、振込手数料・ネットバンキングの使いやすさ・クラウド会計ソフトとの連携など、日々の業務を見据えた観点からの比較検討が欠かせません。
今後、事業を拡大したり法人化を検討したりする上でも、銀行との付き合いは長期的な視点で考えるべきものです。まずは自分のビジネスに合った銀行口座を選び、早めに開設・整備しておくことで、よりスムーズな事業運営と成長が期待できます。