個人事業主におすすめの会計ソフトとは?青色申告が可能な会計ソフトを解説

個人事業主として確定申告を行う際、会計ソフトを活用すれば帳簿付けや申告作業の手間を大幅に減らすことができます。特に青色申告を選ぶ場合は、複式簿記や仕訳帳などの記帳が必要になるため、会計ソフトの導入はほぼ必須ともいえるでしょう。ただし、ソフトによって機能や使いやすさ、料金プランはさまざまです。本記事では、個人事業主におすすめの会計ソフトや、青色申告に対応しているソフトの特徴をわかりやすく解説します。

個人事業主に会計ソフトは必要?その理由と導入メリット

個人事業主に会計ソフトは必要?その理由と導入メリット

個人事業主として事業を始めると、避けて通れないのが「帳簿付け」や「確定申告」です。特に青色申告を選択する場合は、複式簿記による記帳や貸借対照表の作成などが求められ、手間も知識も必要になります。こうした煩雑な業務を効率化するために、会計ソフトの導入は非常に効果的です。

ここでは、青色申告を中心に、個人事業主が会計ソフトを導入すべき理由とそのメリットについて詳しく解説します。

青色申告をするなら会計ソフトが便利な理由

青色申告は、最大65万円の特別控除を受けられるなど節税効果が大きい一方で、記帳方法が厳格に定められています。複式簿記の知識が必要なうえ、帳簿書類の保存や決算書の作成など、専門性の高い対応が求められます。

そこで役立つのが、青色申告に対応した会計ソフトです。たとえば「freee会計」や「やよいの青色申告オンライン」、「マネーフォワード クラウド確定申告」といったクラウド型会計ソフトは、取引を入力するだけで自動的に仕訳を行い、複式簿記の帳簿や確定申告書類まで生成してくれます。

これにより、簿記の知識が浅い個人事業主でも安心して青色申告が行え、電子申告(e-Tax)にもスムーズに対応できます。また、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しているため、制度改正にも柔軟に対応できる点も魅力です。

白色申告でも導入した方がいい?

「青色申告は大変そうだから白色申告で済ませたい」という声もありますが、実は白色申告であっても会計ソフトを導入するメリットは十分にあります。

たとえば白色申告でも収支内訳書の作成や日々の記帳は必要です。手作業やExcelで行うと集計ミスや記載漏れが発生しやすく、申告書の作成にも時間がかかります。

一方、会計ソフトを使えば、収支の入力をするだけで自動的に内訳書が完成し、申告書の作成までスムーズに行えます。さらに、売上や経費の推移をレポートとして確認できる機能も多く、経営管理の面でも大いに役立ちます。

そのため、白色申告の個人事業主であっても、会計ソフトを導入することで申告作業の効率が格段に上がり、ミスのない正確な申告が可能になります。

手書きやExcelとの違いは?

個人事業主の中には、手書きの帳簿やExcelで記帳している方も少なくありません。しかし、これらの方法にはいくつかのリスクや課題があります。

まず手書きの場合、仕訳ミスや計算間違いが起こりやすく、修正も面倒です。帳簿の保存や整理にも手間がかかり、年に一度の確定申告の際に情報を遡って確認するのもひと苦労です。

Excelを使う方法は手書きよりは効率的ですが、関数やフォーマットの知識が必要で、使いこなすには一定のスキルが求められます。また、法改正への対応や帳簿の形式が要件を満たしていないと、青色申告の控除を受けられない可能性もあります。

それに対し、会計ソフトは次のようなメリットがあります。

  • 自動仕訳機能:銀行口座やクレジットカードと連携して、明細データをもとに仕訳を自動生成。
  • 帳簿の自動作成:複式簿記の帳簿や決算書、収支内訳書が自動的に作成される。
  • 法改正への自動対応:インボイス制度や電子帳簿保存法など、最新の制度にも自動でアップデート対応。
  • e-Tax対応:電子申告機能が搭載されており、確定申告が自宅から完了。
  • サポート体制の充実:チャットやメール、電話などで操作方法を丁寧に案内してくれる。

このように、会計ソフトは単なる「記帳ツール」ではなく、事業のバックオフィス業務全体を効率化し、ミスや手間を最小限に抑える重要なツールです。

参考:【2025年版】個人事業主の確定申告におすすめの会計ソフトは?比較ポイントを解説

青色申告対応の会計ソフトを選ぶポイント

青色申告対応の会計ソフトを選ぶポイント

個人事業主が青色申告を行うにあたり、会計ソフトの選定は非常に重要です。青色申告に対応した会計ソフトは多数ありますが、それぞれに特徴や機能の違いがあるため、自分の事業スタイルやスキルに合ったソフトを選ぶことがポイントです。

ここでは、個人事業主が青色申告用の会計ソフトを選ぶ際にチェックすべき6つのポイントを解説します。これらを理解しておけば、自分に最適なソフトを選びやすくなり、確定申告の効率も大幅に向上します。

クラウド型 or インストール型で選ぶ

会計ソフトは大きく分けて「クラウド型」と「インストール型」の2種類があります。青色申告に対応しているかどうかを確認したうえで、自分に合った形式を選ぶことが重要です。

クラウド型会計ソフトは、インターネット上のサービスにログインして利用する形式で、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも操作できるのが特徴です。「freee会計」や「マネーフォワード クラウド確定申告」「やよいの青色申告 オンライン」などが代表的なソフトで、常に最新の法令に自動で対応し、データも自動保存されるため安心して利用できます。

一方、インストール型会計ソフトは、パソコンに直接ソフトをインストールして使うタイプで、「やよいの青色申告」や「みんなの青色申告」などが該当します。オフラインでも使えるため、ネット環境が安定しない場所でも安心ですが、アップデート作業やデータのバックアップ管理は自分で行う必要があります。

事業スタイルや作業環境、外出先での使用の有無などに応じて、クラウド型かインストール型かを選びましょう。

会計知識がなくても使いやすい操作性か

青色申告を行うには複式簿記による記帳が必須ですが、すべてを手動で行うのは困難です。会計ソフトを導入することで記帳や仕訳の自動化が可能になりますが、その操作性が分かりづらいと、かえって作業が滞ってしまうこともあります。

そのため、会計初心者でも直感的に操作できるインターフェースかどうかは重要なチェックポイントです。たとえば、「freee会計」は質問に答える形式で帳簿が完成するUIが特徴で、簿記知識のない個人事業主にも高評価を得ています。また、「やよいの青色申告 オンライン」も初めて使う人向けのナビゲーションが充実しており、安心して入力作業が行えます。

マニュアルやガイド動画の有無、操作画面の見やすさも含め、ストレスなく操作できるかを事前に無料体験版などで確認するのが理想です。

金融機関やクレカとの連携機能

青色申告で必要となる日々の取引の記帳を簡略化するために、金融機関やクレジットカードとの連携機能は非常に便利です。連携が可能な会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細が自動で取り込まれ、対応する仕訳が自動生成されます。

「マネーフォワード クラウド確定申告」や「freee会計」は、数百社以上の金融機関と連携しており、取引明細をリアルタイムで取り込めるため、記帳作業の大幅な効率化が可能です。手入力の手間を減らすだけでなく、記帳漏れや入力ミスの防止にもつながります。

ただし、連携可能な金融機関の範囲はソフトによって異なるため、自分が利用している銀行やカードが対応しているかを事前に確認しておくと安心です。

スマホ対応・アプリの有無

スマホ対応・アプリの有無

外出先や空き時間に帳簿付けや経費入力を行いたいという個人事業主にとっては、スマホアプリの有無や操作性も重要です。

「freee会計」や「マネーフォワード クラウド確定申告」は、スマートフォン専用アプリが提供されており、レシートの撮影による自動読み取りや、経費の登録・確認などがスマホからも行えます。リアルタイムでの記帳が可能になることで、確定申告前に慌てて記帳するような事態を避けやすくなります。

一方、インストール型ソフトはスマホ操作に対応していない場合が多いため、日常的に移動が多い事業主やフリーランスにはクラウド型+アプリ対応ソフトの選択が適しています。

インボイス制度や電子帳簿保存法への対応状況

令和5年からスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)や、電子帳簿保存法の改正により、個人事業主にも一定の法令対応が求められるようになりました。これに対応できるかどうかも、青色申告対応ソフトを選ぶ際の重要な判断基準です。

たとえば、「やよいの青色申告 オンライン」や「マネーフォワード クラウド確定申告」は、電子帳簿保存法に準拠した形式でのデータ保存や、インボイスに対応した請求書発行機能を搭載しています。また、これらのソフトはアップデートによって新制度に柔軟に対応するため、制度改正のたびに自力で対応策を調べる必要がありません。

青色申告を継続して活用していくなら、法令対応が自動化されているソフトを選ぶことで、長期的にも安心して利用できます。

サポートの充実度と料金プランの比較

操作に不安がある個人事業主にとって、サポート体制の有無やその内容も見逃せないポイントです。とくに初めて青色申告に挑戦する場合には、電話・メール・チャットなど複数のサポートチャネルが用意されているソフトを選ぶと安心です。

「やよいの青色申告 オンライン」は、セルフプランのほかに電話サポート付きのプランが用意されており、初心者にもおすすめです。また、「freee会計」や「マネーフォワード」もプランによってチャット・メール・電話サポートの内容が異なります。

料金面でも、無料プランから月額制・年額制までさまざまです。初年度無料や一定期間のトライアルがあるソフトも多いため、まずは試用してみてから本契約に移るのが賢い選択です。

以下は主要ソフトの料金プランの一例です(2025年4月時点)

ソフト名 月額料金(税込) サポート内容
freee会計 スターター 1,298円〜 チャット・メール
マネーフォワード パーソナルミニ 1,078円〜 メールのみ(プランにより異なる)
やよいの青色申告 オンライン 無料〜8,800円/年 プランに応じて電話サポートあり

参考:無料の会計ソフト11選!初心者でも使えるのはコレ【2025年最新】

個人事業主におすすめの青色申告対応ソフト8選

個人事業主におすすめの青色申告対応ソフト8選

個人事業主が青色申告を行うには、対応ソフトの導入が不可欠です。特に65万円の青色申告特別控除を目指すなら、複式簿記や貸借対照表の作成が求められるため、会計ソフトの力を借りることが最も効率的かつ確実な方法です。

ここでは、多くの個人事業主から支持されている青色申告対応の会計ソフトを8つ厳選して紹介します。それぞれに特徴があり、事業規模や使い勝手、料金などの観点から自分に合ったソフトを見つける参考にしてください。

freee会計|初心者でもスムーズに青色申告

freee会計は、会計知識のない個人事業主にも扱いやすいUIが特徴のクラウド型会計ソフトです。質問形式で入力を進めるだけで、仕訳から決算書作成、青色申告書の提出まで一気通貫で行えるのが最大の魅力です。

また、銀行口座やクレジットカード、レシートの自動読み取りにも対応しており、経理業務を大幅に効率化できます。e-Taxにも完全対応しており、スマホアプリからの申告も可能。外出が多いフリーランスにも最適です。

  • 対応:クラウド型・青色申告(複式簿記対応)
  • 月額:1,298円(税込)〜
  • 無料期間:30日間トライアルあり

「freee会計」公式サイト

マネーフォワード クラウド確定申告|経営管理も一元化

マネーフォワード クラウド確定申告は、記帳だけでなくレポート機能も充実しており、経営状況の「見える化」が得意な会計ソフトです。会計ソフトとしての基本機能に加え、請求書の発行や資金繰りの可視化など、経営全体をサポートする機能が強みです。

また、帳簿の作成はもちろん、インボイス制度や電子帳簿保存法にもいち早く対応。中長期で事業を拡大していく個人事業主におすすめです。

  • 対応:クラウド型・青色申告(複式簿記対応)
  • 月額:1,078円(税込)〜
  • 無料期間:1ヶ月無料体験あり

「マネーフォワード クラウド確定申告」公式サイト

やよいの青色申告 オンライン|1年間無料でコスパ良好

やよいの青色申告 オンラインは、老舗ソフト「弥生シリーズ」のクラウド版で、シンプルで直感的な操作性が特徴です。簿記の知識がなくてもナビに従って進めるだけで、青色申告に必要な帳簿が作成できるよう設計されています。

最大の特長は「1年間無料」という点。初めて青色申告を行う個人事業主にとっては、試しやすくコストも抑えられます。インボイス制度や電子申告にも対応済み。

  • 対応:クラウド型・青色申告(複式簿記対応)
  • 年額:セルフプラン無料、他プランは8,800円(税込)〜
  • サポート付きプランあり

「やよいの青色申告 オンライン」公式サイト

ツカエル青色申告|軽快な操作性が魅力

ツカエル青色申告は、動作が軽く、スムーズな操作性が特徴のインストール型会計ソフトです。複数タブの同時表示や入力補助機能が充実しており、パソコン作業に慣れたユーザーにとっては非常に使いやすい仕様です。

また、帳簿・仕訳帳の出力やインポート/エクスポート機能など、業務を効率化する機能も多く搭載されています。コストパフォーマンスを重視する方にもおすすめ。

  • 対応:インストール型・青色申告対応
  • 費用:ダウンロード版 約6,000円〜(税込)

HANJO会計|飲食業など小規模事業におすすめ

HANJO会計は、ぐるなびが提供する会計ソフトで、特に飲食店などの小規模事業者に適した設計になっています。売上管理や仕入れ・在庫管理など、日常業務と会計業務を連動させやすく、現場に強いソフトです。

会計初心者向けの操作ガイドや、飲食業に特化したメニューなども充実しており、業種特化型として選ばれています。

  • 対応:クラウド型・青色申告対応
  • 月額:無料〜有料プランあり(要問合せ)

みんなの青色申告|複式簿記にも対応、導入コスト低

みんなの青色申告は、コストを抑えつつ複式簿記にも対応できるインストール型の会計ソフトです。家計簿のような感覚で仕訳入力ができるため、初心者にも分かりやすく設計されています。

オンラインバージョンアップにも対応しており、毎年の法令改正にも追従。帳簿形式も柔軟に対応しているため、青色申告に必要な書類はすべて網羅できます。

  • 対応:インストール型・青色申告対応
  • 費用:ダウンロード版 約5,000円〜(税込)

円簿青色申告|Mac対応・完全無料の高性能ソフト

円簿青色申告は、完全無料で利用できるクラウド型会計ソフトです。Macユーザーにも対応しており、OSを問わず多くの個人事業主にとって使いやすい点が魅力です。

複式簿記・総勘定元帳・決算書の作成など青色申告に必要な機能はすべて搭載しており、費用をかけずに申告を完了したい個人事業主には理想的な選択肢です。

  • 対応:クラウド型・青色申告対応(Mac/Windows対応)
  • 月額:完全無料
  • 登録のみで即利用可

ジョブカン青色申告|クラウド連携で作業効率化

ジョブカン青色申告は、シリーズ製品「ジョブカン経費精算」や「ジョブカン請求書」との連携が可能なクラウド型会計ソフトです。これにより、経費処理から申告までの一連の業務を一元管理できるのが特長です。

UIもシンプルでわかりやすく、帳簿の作成から確定申告書の出力までスムーズに行えるため、日々の業務負担を軽減したい個人事業主に適しています。

  • 対応:クラウド型・青色申告対応
  • 月額:1,100円(税込)〜
  • 30日間無料トライアルあり

これらの会計ソフトはそれぞれ特徴が異なるため、自分の事業内容や予算、操作性へのこだわりに合わせて選ぶことが大切です。

参考:個人事業主におすすめ青色申告ソフト8選!比較表や導入事例を解説

比較表でチェック!おすすめ会計ソフトのスペック一覧

比較表でチェック!おすすめ会計ソフトのスペック一覧

青色申告に対応した会計ソフトは種類も多く、それぞれに特徴があります。ここでは、前項で紹介した個人事業主向けのおすすめ会計ソフト8選を「機能」「対応OS」「料金」「サポート体制」の観点から比較表で整理しました。

事業内容や作業スタイルによって最適なソフトは異なります。自分に合ったソフト選びの参考にしてみてください。

機能・対応OS・料金・サポート体制の比較

ソフト名 タイプ 主な機能 対応OS 月額/年額料金 無料プラン サポート体制
freee会計 クラウド型 自動仕訳、e-Tax対応、レポート機能、スマホ対応 Windows / Mac / スマホ 月額1,298円〜 〇(30日) チャット・メール(プランによる)
マネーフォワード クラウド確定申告 クラウド型 銀行連携、請求書管理、経営レポート Windows / Mac / スマホ 月額1,078円〜 〇(1ヶ月) メール・チャット(プランによる)
やよいの青色申告 オンライン クラウド型 ナビ機能、e-Tax対応、法改正自動対応 Windows / Mac 年額8,800円〜(セルフプランは無料) 〇(初年度) メール・電話(プランによる)
ツカエル青色申告 インストール型 軽快動作、複数タブ、CSV入出力 Windows 約6,000円(買い切り) × メール(アップグレードプランで電話対応可)
HANJO会計 クラウド型 売上・仕入・在庫管理、業種特化型 Windows / Mac プランにより異なる(基本無料) メール中心(プレミアム契約で電話対応可)
みんなの青色申告 インストール型 複式簿記、総勘定元帳、帳票出力 Windows 約5,000円〜(買い切り) × メール・FAX中心
円簿青色申告 クラウド型 無料・自動集計・決算書作成 Windows / Mac 完全無料 問い合わせフォームのみ(サポート簡易)
ジョブカン青色申告 クラウド型 請求書連携、帳簿作成、スマホ対応 Windows / Mac / スマホ 月額1,100円〜 〇(30日) チャット・メール・ヘルプセンター

選ぶ際のポイント

  • 初心者でスマホ中心に使いたい人は、freee会計やジョブカン青色申告が向いています。
  • レポートや資金管理も一元化したい場合は、マネーフォワード クラウド確定申告が有力。
  • まずは無料で試したい・コストを抑えたい人には、やよいの青色申告オンライン(初年度無料)や円簿青色申告がおすすめ。
  • ネット環境が不安定な人買い切り型を好む人は、みんなの青色申告やツカエル青色申告といったインストール型が適しています。

それぞれのソフトには一長一短があるため、試用期間を活用して使い心地を比較するのも一つの手です。

参考:【2025年最新】個人事業主向け会計ソフトおすすめ8選(全13選)を比較!無料ソフトや確定申告に

会計ソフトを導入する前に知っておきたいこと

会計ソフトを導入する前に知っておきたいこと

青色申告を行う個人事業主にとって、会計ソフトは非常に頼もしい存在です。しかし、導入前には費用面や利用時期、無料ソフトの活用範囲など、押さえておくべきポイントがあります。

このセクションでは、個人事業主が会計ソフトを選ぶ前に知っておきたい3つのテーマについて解説します。導入後の失敗を防ぎ、自分に最適な会計ソフトを選ぶための参考にしてください。

会計ソフトの費用は経費にできる?

結論から言うと、会計ソフトの費用は個人事業主の必要経費として計上可能です。事業に関連して使用するソフトウェアの購入費や利用料は、「通信費」や「消耗品費」「租税公課」などとして仕訳できます。

クラウド型ソフトであれば月額・年額のサブスクリプション費用、インストール型であればパッケージの購入費が対象です。また、有料サポートプランの料金やバージョンアップ代金も、会計処理上は経費として扱えます。

仕訳の例としては以下の通りです。

  • クラウド型会計ソフト利用料(月額1,100円)
    借方「通信費」1,100円/貸方「普通預金」1,100円
  • インストール型会計ソフト購入(6,000円)
    借方「消耗品費」6,000円/貸方「現金」6,000円

会計ソフト導入にかかる費用を経費として処理することで、所得税や住民税の節税につながる点も見逃せません。ただし、個人的な利用が含まれている場合は家事按分が必要なケースもあるため、心配な場合は税理士に相談すると安心です。

導入のタイミングはいつが最適?

会計ソフトの導入時期は、できるだけ開業初期または年度のはじめに行うのが理想的です。理由は、取引が少ないうちに会計ソフトの操作に慣れておけば、後になって大量の取引データを入力し直す手間を防げるからです。

特に青色申告を初めて行う場合は、1月1日から12月31日までの記帳をすべてソフトで一元管理できるようにするのがベスト。開業届と同時に導入を検討するのがよいでしょう。

年度の途中からでも導入は可能ですが、その場合は過去分の帳簿を遡って入力する必要が出てくるため、やや手間がかかります。ただし、「freee会計」や「マネーフォワード クラウド確定申告」などでは、エクセルデータのインポート機能があり、過去の仕訳を一括登録できるため、移行も比較的スムーズです。

また、確定申告直前に慌てて導入するのは避けたほうがよいでしょう。帳簿付けに慣れていない状態で操作を覚えるのは非効率で、ミスや申告漏れのリスクも高まります。余裕を持った時期に導入し、操作に慣れておくことがポイントです。

参考:個人事業主におすすめの会計ソフト14選!初心者の選び方や比較ポイントと導入するメリット・デメリット

無料ソフトはどこまで使える?

無料ソフトはどこまで使える?

個人事業主の中には「できるだけコストを抑えたい」と考え、無料の会計ソフトを検討する方も多いでしょう。実際、無料で利用可能な青色申告対応ソフトもいくつか存在します

たとえば「円簿青色申告」は、完全無料でクラウド上で利用可能な高機能ソフトです。帳簿作成・複式簿記対応・決算書出力など、青色申告に必要な機能は一通り揃っており、Macにも対応している点が特長です。

また、「やよいの青色申告 オンライン」は、初年度無料プランが用意されており、青色申告初心者がソフトを試すには最適な選択肢です。サポートが不要であれば、無料期間中に確定申告まで済ませることも可能です。

ただし、無料ソフトには以下のような制限がある場合があるため注意が必要です

  • サポート対応(電話・メール)が受けられない
  • 一部の帳票出力が制限されている
  • 保存データの容量に制限がある
  • 最新の法改正に対応しない可能性がある

また、「期間限定の無料トライアル」である場合は、申告時期に合わせて契約更新が必要になるため、本番利用の前に制限内容をしっかり確認することが大切です。

このように、個人事業主が青色申告用の会計ソフトを導入する前には、「経費としての処理」「導入タイミング」「無料ソフトの限界」といった実務面での知識を持っておくことが成功の鍵となります。

参考:青色申告ソフトを無料で活用!個人事業主向けおすすめ8選をご紹介!

よくある質問

よくある質問

Q. 青色申告にはどんな書類が必要?

青色申告を行う際には、以下の書類を提出または保存する必要があります。

  • 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 確定申告書(B様式)
  • 帳簿類の保存(複式簿記):仕訳帳、総勘定元帳など
  • 控除を受ける場合の添付書類:医療費控除、扶養控除、保険料控除などの証明書類

青色申告を選ぶには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。また、最大65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による記帳とe-Taxでの電子申告、または電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。

会計ソフトを使えば、これらの帳簿作成・申告書出力が自動化できるため、書類準備の手間が大幅に軽減されます。

Q. 初心者でも簡単に使えるソフトはどれ?

会計初心者の個人事業主におすすめなのは以下のソフトです。

  • freee会計:質問に答えるだけで帳簿が作れるナビ形式。会計知識ゼロでも安心。
  • やよいの青色申告 オンライン:シンプルで分かりやすい画面設計と、手厚いサポートが魅力。
  • マネーフォワード クラウド確定申告:画面の案内に従って進めるだけで青色申告が完成。レポート機能も使いやすい。

これらはいずれもクラウド型で、スマホにも対応しているため、場所を選ばず操作できる点も初心者にとっては大きな利点です。

Q. 確定申告の電子申請にも対応している?

はい。現在主流のクラウド型会計ソフトは、いずれもe-Taxによる電子申告に対応しています

  • freee会計マネーフォワードは、電子申告機能をソフト内で完結でき、マイナンバーカードを使った申告も可能。
  • やよいの青色申告 オンラインも、e-Tax連携機能を搭載し、確定申告を紙に出力せずオンラインで済ませられます。

電子申告は控除の条件にもなっており、65万円の青色申告特別控除を目指すなら、対応ソフトの活用は必須といえます。

Q. Macユーザーにおすすめのソフトは?

Macに対応している会計ソフトも増えています。以下が代表的です。

  • freee会計:完全クラウド対応で、MacでもWindowsでも同様に使えます。
  • マネーフォワード クラウド確定申告:こちらもブラウザで操作可能なため、Macでも問題なし。
  • 円簿青色申告:完全無料のクラウド型でMac対応。費用をかけたくない方に最適。

インストール型ソフトの多くはWindows専用となっているため、Macユーザーはクラウド型ソフトを選ぶのが基本となります。

参考:クラウド会計ソフトのおすすめ人気ランキング

まとめ:自分に合った会計ソフトで青色申告を効率化しよう

まとめ:自分に合った会計ソフトで青色申告を効率化しよう

青色申告は、個人事業主にとって大きな節税メリットが得られる制度ですが、その分、帳簿付けや申告手続きには一定の手間と知識が求められます。そこで重要となるのが、自分に合った会計ソフトの導入です。

会計ソフトを使えば、複式簿記による記帳も自動化され、確定申告書の作成・提出までスムーズに行えます。クラウド型かインストール型か、操作性やサポート体制、料金体系、使用OSとの相性などを踏まえ、自分の事業に最も適したソフトを選ぶことで、作業時間の短縮とミスの防止が実現できます。

「何から始めていいかわからない」という方も、まずは無料トライアルを試し、使用感を確かめてみることをおすすめします。正しいソフト選びで、青色申告をもっとラクに、もっと確実に進めましょう。