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フリーランスにも税務調査は来る?対象となる特徴や対策を解説

「フリーランスは税務調査なんて来ない」と思っていませんか?実は個人事業主であるフリーランスも調査対象になることがあり、申告内容や帳簿の不備によっては突然連絡が来るケースも。特に売上と生活水準のバランスが取れていない、経費が過剰に多い、申告内容が不自然などの特徴があると目をつけられやすくなります。

本記事では、税務調査の対象になりやすいフリーランスの特徴や、事前にできる具体的な対策、調査時の対応ポイントなどを解説。正しく備えて安心して事業を続けるための実用的な情報をお届けします。

フリーランスにも税務調査はある?基本知識と前提を確認

フリーランスにも税務調査はある?基本知識と前提を確認

「税務調査は大企業や法人だけの話」と思っていませんか?実は、フリーランスや個人事業主も税務調査の対象になることがあります。収入規模の大小に関わらず、確定申告をしているすべての納税者に調査の可能性があるため、フリーランスも例外ではありません。特に、収支の内容に不自然な点が見られる場合や、申告内容に不備がある場合には、税務署から目をつけられやすくなります。

ここでは、税務調査の対象にフリーランスが含まれる理由や、調査の発生確率、調査の種類について詳しく解説します。

税務調査は法人だけでなく個人事業主も対象

税務調査は、法人だけでなく、すべての納税者に対して行われる可能性のある制度です。個人事業主やフリーランスも、当然ながら課税対象者である以上、正しく納税しているかどうかを確認するための調査が行われることがあります。

特にフリーランスは、会社員と異なり源泉徴収による自動的な納税が行われておらず、自己申告によって税金を納める仕組みとなっているため、税務署からは「申告ミスや不正が発生しやすい」と判断されることもあります。

また、インボイス制度の導入や副業人口の増加に伴い、フリーランスの数が増えたことで、税務署のチェック対象としての重要性も高まっています。そのため、「自分は小規模だから」「まだ売上が少ないから」といった油断は禁物です。

フリーランスに税務調査が入る確率は?

フリーランスに実際に税務調査が入る確率は、一般的に0.5〜1.0%程度とされています。これは、100人に1人程度が対象になる計算で、数字だけを見れば「かなり低い」と思われるかもしれません。

しかし、以下のような条件に該当する場合には、確率が大きく跳ね上がります。

  • 確定申告をしていない(無申告)
  • 売上や経費に不自然な点がある
  • 特定の業種(コンサルタント・SE・クリエイターなど)
  • 売上が1000万円近辺で推移している(消費税回避を疑われる)
  • 過去に調査や是正を受けている

これらの条件が重なると、フリーランスであっても税務署からのマークが強まる可能性が高まります。特にフリーランスの中でも「経費の使い方が不透明」「帳簿がずさん」といったケースは要注意です。

また、税務署には「内部告発」や「同業他者の比較」などをもとに調査対象を選定する仕組みもあり、自分がどこで見られているか分からないのが実情です。

税務調査の種類(任意調査・強制調査)

税務調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。フリーランスに対して行われるのは、ほとんどが「任意調査」です。

任意調査とは

任意調査は、納税者の協力を得ながら行われる調査で、事前に通知があり、調査日程も納税者と相談のうえで決定されます。通常は2〜3日間程度の実地調査で、自宅や事務所に税務署職員が訪問し、帳簿・領収書・請求書・預金通帳などの確認が行われます。

フリーランスに対しては、この任意調査が基本で、過去3〜5年分の申告内容が対象になることが一般的です。

強制調査とは

一方、強制調査は「査察調査」とも呼ばれ、脱税の疑いが強い場合に裁判所の令状を得て実施される調査です。いわゆる「マルサ」が出動するもので、フリーランスに対して実施されることはごく稀です。ただし、悪質な無申告や、意図的な過少申告が判明した場合には、対象となることもあるため注意が必要です。

このように、税務調査はフリーランスにも現実的に起こりうるものであり、対象になったからといって慌てる必要はありません。まずは「税務調査とは何か」「どんなリスクがあるのか」を正しく理解し、日頃から備えておくことが重要です。

参考:フリーランスも税務調査される!疑われる5つの特徴と対策方法を解説

税務調査が入りやすいフリーランスの特徴

税務調査が入りやすいフリーランスの特徴

税務調査は確率的には低いとはいえ、特定の条件に当てはまるフリーランスは税務署から注目されやすくなります。調査官は限られた人員の中で効率的に不正を摘発する必要があるため、あらかじめ「調査に入りやすいパターン」が存在しているのです。

この章では、税務調査の対象になりやすいフリーランスに共通する特徴を具体的に解説します。該当項目があれば早急な見直しが必要です。

①確定申告をしていない(無申告)

確定申告の未提出は、税務署にとって最も重大なリスク要因とされます。売上が発生しているにもかかわらず申告がない場合、税務署側は「脱税の可能性が高い」と判断し、真っ先に調査対象とする傾向があります。

とくに、以下のようなケースは要注意です。

  • SNSやホームページで「仕事をしている」ことが公開されている
  • クラウドソーシングで収入履歴が残っている
  • 銀行口座に一定の入金が定期的にある
  • 所得税の支払い実績がないのに住民税が課税されている

これらの情報は税務署に共有されるため、申告を怠っているとすぐに把握されます。無申告が発覚した場合、延滞税や無申告加算税、悪質と判断されれば重加算税も課されることがあります。

「収入が少ないから大丈夫」「バレないと思っていた」という油断は非常に危険です。

②申告内容に不審点がある(収支バランスや控除額など)

確定申告をしていても、その内容に不自然な点があれば税務調査の対象になります。たとえば、売上に対して経費や控除額が異常に多く、所得金額が毎年ギリギリゼロに近い場合、税務署は「過少申告では?」と疑います。

よくある不審な申告例には、以下のようなパターンがあります。

  • 毎年控除限度額ギリギリの申告が続いている
  • 売上のわりに経費が異常に多い
  • 扶養控除や医療費控除が不自然に大きい
  • 前年と比べて極端に利益が増減している

税務署は全国の申告データを比較し、業種ごとの平均値や傾向を把握しているため、収支のバランスや控除の使い方が他と逸脱している場合に調査に踏み切る可能性が高いです。

③経費の計上内容が不自然(生活費を混在させているなど)

フリーランスが申告時に間違えやすいポイントの一つが経費の取り扱いです。事業に関係ない支出を「必要経費」として計上すると、税務署から否認される可能性が高まります。

とくに以下のような支出は、調査で疑われやすい項目です。

  • 自宅家賃を全額経費にしている
  • 家族旅行やプライベートの食事代を「打ち合わせ費」として処理している
  • 高額な衣類・美容・健康関連の費用を仕事用と主張している

経費の境界が曖昧な支出ほど、説明責任が問われます。「この出費は本当に業務に必要だったのか?」を領収書や利用履歴で証明できるようにしておくことが重要です。

また、領収書がない、帳簿が未整備といったケースでは、いくら主張しても経費として認められないことがあります。

④売上が急増・変動が大きい(開業後数年・年収1000万円近辺)

開業して間もないフリーランスが、数年で急激に売上を伸ばした場合や、毎年の売上に大きな波がある場合も、税務署の注目対象となります。理由は「適正な申告がされているか」「消費税の納税義務を回避していないか」を確認するためです。

とくに注意すべきは以下のケースです。

  • 売上が950万〜999万円など、消費税免税ラインをギリギリ下回っている
  • 前年より売上が急激に倍増している
  • 赤字→黒字→赤字といった収支の不安定さが目立つ

税務署は、「納税者が意図的に売上を操作しているのでは?」と判断する可能性があるため、売上や利益の変動理由を説明できるよう準備しておくことが大切です。

⑤現金商売や特定業種(SE・コンサル・クリエイター等)

税務調査では、業種ごとのリスクも調査対象選定に影響します。とくに、以下のような業種は過去の調査データから「申告漏れや脱税のリスクが高い」とされ、調査対象になりやすい傾向にあります。

  • ITエンジニア・SE・Webデザイナー
  • 経営・財務コンサルタント
  • 広告・マーケティング業
  • インフルエンサー・ブロガー・YouTuber
  • 美容・健康・スピリチュアル関連
  • 士業や講師業で副業している個人

また、現金取引の多いフリーランス(整体師・イベント業・飲食系など)は、帳簿に記載されない「売上の抜け」が発生しやすいと見なされるため、税務署にとっては調査しやすい対象です。

該当する業種で活動している場合は、日々の記帳を正確に行い、証拠となる書類を徹底して残すことが必要です。

⑥顧問税理士をつけていない

フリーランスの中には「会計ソフトだけで十分」「税理士に頼むのはコストがかかる」と考え、自力で申告を行っている人も多くいます。しかし、顧問税理士がついていない場合、税務署からは「申告内容にミスがあるかもしれない」と警戒されることがあります

また、税理士がついている申告には専門家の監修が入っているという信用性があるため、調査対象としての優先度は下がる傾向にあります。

実際に、税務調査の現場では「税理士がいない=調査しやすい」と見なされることもあり、対応に慣れていないフリーランスが調査時に不利になるケースも見られます。

税務署からの連絡や調査が入った際に迅速に対応するためにも、税理士との顧問契約を検討するのは有効な対策の一つです。

税務調査は、特別な違反行為がなくても「見せてもらうだけ」という前提で行われることがあります。しかし、上記のような特徴を持っていると、調査に選ばれる可能性が高まります。

自分がどれかに該当していないかを見直し、リスクを減らす行動を日頃から心がけることが、安心してフリーランスとして活動する第一歩です。

参考:税務調査が来たら人生終わり?!慌てないためにフリーランスが対応するべきこととは?

実際に税務調査が入ったらどうなる?流れと対応

実際に税務調査が入ったらどうなる?流れと対応

税務調査が入ると聞くと、「突然家に来るの?」「何を見られるの?」と不安になるフリーランスも多いでしょう。しかし、基本的に税務調査は一定の手順に則って進められます。正しい対応を知っておくことで、無用な混乱を避け、冷静に対処することが可能です。

この章では、税務調査の一般的な流れと、それぞれのステップでフリーランスがすべき対応について解説します。

税務署からの事前通知(連絡・書類送付)

税務調査の多くは「任意調査」と呼ばれ、突然の抜き打ち訪問ではなく、事前に税務署から連絡が入るのが基本です。電話や書面で以下のような内容が通知されます。

  • 調査対象の年度(通常は過去3〜5年分)
  • 調査の日時・場所(自宅、事務所、あるいは税務署)
  • 調査の目的と概要
  • 準備しておくべき資料(帳簿、領収書、請求書、通帳など)

この段階で慌てず、冷静に案内された書類を整理することが第一歩です。可能であれば、税理士に相談し、調査当日に立ち会ってもらう準備もしておくと安心です。

また、調査日の調整は可能な場合が多いため、やむを得ない事情がある場合は早めに連絡を入れましょう。

実地調査の実施(自宅・オフィス訪問とヒアリング)

指定された日時になると、税務署の調査官が訪問し、実地調査が行われます。フリーランスの場合、事業所と居住地が同一のことが多いため、自宅での調査となることも一般的です。

実地調査の内容は、以下のようなものが中心です。

  • 帳簿や収支報告書の確認
  • 領収書や請求書など、証拠書類の照合
  • 銀行口座の入出金記録との整合性の確認
  • 業務の実態についてのヒアリング

たとえば、「この領収書はどの案件に関する支出ですか?」「家賃のうち何割を事業に使っていますか?」といった質問がされる場合があります。

調査官は不正を暴こうというよりも、申告内容の正確性を確認し、説明できるかどうかを重視します。そのため、あやふやな返答やごまかしはせず、正直かつ冷静に対応することが大切です。

調査結果の通知と修正申告の対応

実地調査が終わると、後日「税務調査結果のお知らせ」などの形で調査結果の通知が届きます。この書類には、申告内容に対する指摘事項や、必要な修正申告の範囲が記載されています。

指摘内容に納得できない場合は説明や異議申し立ても可能ですが、基本的には調査官の指導に従って修正申告を行うのが一般的です。

修正が必要とされた場合、以下のような手順で進められます。

  1. 不備や誤りがあった申告内容の修正
  2. 修正後の申告書の再提出
  3. 追加納税額の計算と支払い

この対応が遅れると、さらに延滞税が発生する可能性があるため、通知を受け取ったらすみやかに対応することが重要です。税理士に依頼して、内容の確認と修正作業を一任するのも安心できる方法です。

追徴課税や加算税のリスク

税務調査の結果、修正申告が必要になると、元の税額に加えて「追徴課税」や「加算税」が発生する場合があります。この追加的な負担は、フリーランスにとって大きな経済的ダメージとなり得るため、事前にどんなリスクがあるかを理解しておきましょう。

代表的な加算税には以下があります。

  • 過少申告加算税(本来より少なく申告していた場合)
    追加納税額の10〜15%が課される
  • 無申告加算税(申告自体をしていなかった場合)
    最大で20%が課されることもある
  • 重加算税(意図的な不正があった場合)
    最大で35〜40%が課される

また、これらに加えて延滞税(納付が遅れた場合の利息)も発生します。たとえば100万円の追加納税があった場合、10〜30万円以上の加算税が別途発生する可能性があるため、税務調査の指摘は真剣に受け止め、早急に対処することが重要です。

税務調査はフリーランスにとってプレッシャーの大きい出来事ではありますが、適切な対応をすれば過度に恐れる必要はありません。ポイントは「冷静な対応」と「事前の準備」です。

参考:税務調査はフリーランスにも関係ある!知らないと損するポイント4つと対策方法を解説!

フリーランスが税務調査を防ぐための対策

フリーランスが税務調査を防ぐための対策

税務調査は、フリーランスとして事業を行う以上、誰にでも起こりうるリスクです。しかし、正しい知識と習慣を身につけておけば、税務署から疑われにくい申告が可能となり、調査を未然に防ぐこともできます。ここでは、フリーランスが実践すべき税務調査対策を5つの視点から詳しく解説します。

申告漏れや無申告は絶対に避ける

税務調査で最も厳しくチェックされるのが、申告漏れや無申告の状態です。収入があるにも関わらず確定申告をしていない場合、税務署は「悪質な納税逃れ」と見なし、調査対象にしやすくなります。

たとえば、以下のような情報から収入の存在は簡単に把握されます。

  • 銀行口座の入金履歴
  • クラウドソーシングや業務委託先からの支払い情報(支払調書)
  • SNSやHPでの活動内容
  • 住民税の課税状況と所得税の申告内容の不一致

フリーランスの場合、事業所得が年間48万円(基礎控除)を超えた時点で申告義務が生じます。「売上が少ないから」「忙しかったから」と放置していると、後に大きなペナルティ(無申告加算税・延滞税など)を受ける可能性があります。

申告漏れのリスクを避けるには、毎年必ず期限内に正しく確定申告を行うことが最優先です

経費の範囲を正しく理解する

フリーランスにとって経費の正しい理解は、節税と税務リスク回避の両方に直結する重要事項です。経費にできる支出とできない支出の線引きを誤ると、税務調査で否認され、追徴課税の対象になることがあります。

以下は経費にできる支出の一例です。

  • クライアントとの打ち合わせ時の飲食費(常識的範囲内)
  • 使用するパソコンやソフトウェアの購入費
  • 事業に使う通信費・光熱費の一部(家事按分)
  • フリーランス向け勉強会やセミナー費用

逆に、以下のような支出は原則として経費になりません。

  • 家族との私的な食事代や旅行費用
  • プライベートな衣服、美容院代
  • 事業と無関係な趣味や娯楽の支出

税務署は、支出の「業務との関連性」を重視して判断します。説明責任が求められることを意識し、領収書に用途をメモする、明細に案件名を記すなどの工夫をしておくと安心です

日々の記帳をルール通りに行う

日々の記帳をルール通りに行う

記帳は、フリーランスが税務調査の対象にならないための最大の予防策です。日々の売上や経費の記録を怠ると、確定申告の際に数字の整合性が取れなくなり、不自然な申告になってしまうリスクがあります。

記帳のポイントは以下のとおりです。

  • 売上は発生ベースで漏れなく記録する
  • 支出は日付・金額・用途を明確に記録する
  • 勘定科目は税務署が定める区分に従って分類する
  • 現金取引が多い場合は、現金出納帳も管理する

白色申告でも帳簿保存義務があり、青色申告では複式簿記による帳簿作成が求められます。調査時には帳簿の正確さが問われるため、日々の習慣として記帳を徹底しておきましょう

領収書や請求書をきちんと保存する

帳簿が正しくても、証拠書類がないと経費として認められないことがあります。税務調査で確認される代表的な書類は以下のとおりです。

  • 領収書・レシート
  • 請求書・納品書・見積書
  • 銀行通帳・クレジットカード明細
  • 契約書・発注書
  • 家賃や水道光熱費の請求書(家事按分の根拠)

書類は、7年間(青色申告の減価償却資産に関する書類は10年間)保存する義務があります。紙での保管でも、スキャンしてクラウド管理しても構いません。

とくに、フリーランスの場合は「個人利用との区別」が重要です。たとえば、自宅家賃や通信費の按分割合、事業用とプライベート用のクレジットカードの使い分けなどが調査対象になります。

日頃から書類を整理整頓し、必要な時にすぐ提出できる状態にしておくことが、税務調査での信頼にもつながります

会計ソフトやクラウド会計で管理を効率化

最近では、フリーランス向けに特化したクラウド型会計ソフト(freee、マネーフォワードクラウド、弥生など)が普及しており、手間をかけずに正確な記帳や申告が可能です。

クラウド会計ソフトの主なメリットは以下のとおりです。

  • 銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳できる
  • レシートをスマホで撮影・読み取りして帳簿化できる
  • 申告書類の自動作成やe-Tax連携が可能
  • 青色申告65万円控除に対応した帳簿を作成できる

こうしたツールを使うことで、申告ミスのリスクを減らし、税務署からの信頼性を高めることができます。また、税理士とデータ共有できるソフトを選べば、調査対応や税務相談もスムーズになります。

税務調査を完全に避けることは難しいかもしれませんが、日頃の意識と仕組みづくり次第で「調査されにくい状態」を作ることは可能です。正しい申告と記録、透明性の高い経費処理を心がけ、フリーランスとして安心・安定した事業運営を目指しましょう。

参考:フリーランスも税務調査の対象になる!税務調査の確率や対象になりやすい人の特徴を解説

税務調査に備えて税理士を活用するメリット

税務調査に備えて税理士を活用するメリット

フリーランスとして事業を営むうえで、税金や会計の知識を独学でカバーするには限界があります。とくに税務調査という事態に備えるには、日常の帳簿管理から申告内容の精査まで高い精度が求められます。そこで心強い味方となるのが「税理士」の存在です。

ここでは、フリーランスが税理士を活用することで得られる具体的なメリットを3つの観点から解説します。単なる「申告代行」だけではない、税理士の本当の価値を理解しましょう。

正確な申告と記帳のサポートが受けられる

税務調査の対象になりやすいのは、申告内容にミスや曖昧な点があるケースです。フリーランスの場合、帳簿の記載ミスや経費の判断ミス、勘定科目の選定ミスなどが多発しやすく、本人に悪意がなくても「申告漏れ」と判断されることがあります

税理士に依頼することで、以下のような専門的サポートを受けられます。

  • 複式簿記に則った帳簿作成の代行またはチェック
  • 青色申告65万円控除に対応した記帳指導
  • 業務に関連する支出と私的支出の区分け
  • 勘定科目の正確な分類と税法上の正しい処理
  • 確定申告書の作成・提出までの一連の流れの管理

とくに青色申告を行うフリーランスにとって、帳簿のミスは控除額の減少や追徴課税の原因となるため、税理士の専門的な視点でのチェックが非常に重要です。

また、税務署側から見ても、税理士が関与した申告書は「一定の信頼性がある」と判断されやすく、税務調査の対象となる確率を下げる効果もあります。

調査対応や修正申告も任せられる

もし税務調査が入ってしまった場合でも、税理士がいれば冷静に対応することが可能です。税務調査は専門用語が多く、法律的なやり取りも発生するため、税の知識がないまま調査官と直接やり取りをするのは大きな負担になります

税理士に依頼していれば、以下のような支援を受けられます。

  • 税務署との事前打ち合わせ、日程調整
  • 調査当日の立ち合いと説明補助
  • 指摘事項に対する反論や法的根拠の提示
  • 修正申告が必要な場合の申告書作成と追加納税額の計算
  • 延滞税や加算税の軽減措置に関する交渉

税務調査の現場では、「経費の妥当性」や「申告内容の意図」が問われる場面が多くあります。税理士はフリーランスの事業内容や過去の申告状況を把握しているため、調査官に対して納税者の立場を代弁し、必要な説明や交渉を行ってくれます

調査後の修正申告や追徴課税の処理も一任できるため、精神的な負担や時間的コストを大幅に軽減できるというのは、フリーランスにとって大きなメリットです。

税務リスクを未然に防ぐアドバイスが得られる

税理士は、過去の処理を正すだけでなく、将来的な税務リスクを事前に察知し、的確なアドバイスをくれる存在でもあります。税制は毎年のように改正され、適切な対応をしなければ思わぬ税負担や罰則を受ける可能性があります。

税理士に依頼しておくことで、次のような助言を受けることができます。

  • 年間の売上見込みに応じた節税戦略の立案
  • 消費税の課税事業者への切り替え時期の判断
  • 経費計上のルールや家事按分の適正な割合設定
  • 税務署から見たリスクの高い取引や処理方法の指摘
  • 法人成りを検討すべきタイミングの提案

たとえば、年収が900万〜1000万円に近づいたフリーランスの場合、消費税の課税業者になるかどうかの判断や、法人化による節税効果の検討など、戦略的な視点でのアドバイスが将来の安心と利益につながります

また、税務署からの問い合わせやお尋ね文書が届いた際にも、税理士が内容を精査し、適切な対応策を示してくれるため、パニックにならずに済むというのも大きな利点です。

税務調査は、正しい知識と体制が整っていれば過度に恐れる必要はありません。ただし、調査リスクを根本から抑え、安心して事業に集中するには税理士のサポートが不可欠です。

参考:税務調査が来ない個人事業主の5つの特徴と対策

よくある質問

よくある質問

Q.年収がいくらくらいから税務調査の対象になりますか?

税務調査に明確な「年収の基準」はありません。年収が数百万円でも調査対象になることはあります。ただし、年収が900万円〜1,000万円前後で推移しているフリーランスは、消費税の課税義務や経費の使い方に注目されやすくなるため、税務署から目を付けられる傾向があります。売上や利益の急増、経費の比率が高いなど、金額よりも申告内容の不自然さやリスク要因が重視されるのが実情です。

Q.白色申告でも税務調査は来ますか?

はい、白色申告のフリーランスにも税務調査は行われます。青色申告の方が提出する書類が多く、税務署にとっては情報が得やすいですが、白色申告でも帳簿の保存義務はあるため、税務調査の対象になります。とくに、収入に対して経費が多すぎる、申告が曖昧、というような場合は調査されやすくなります。白色申告でも記帳や領収書の保存はきちんと行い、調査に備える必要があります。

Q.経費として認められないものの例は?

以下のような支出は、フリーランスであっても原則として経費として認められません

  • 家族との旅行代やプライベートな飲食費
  • 個人的な衣類・美容院・マッサージ代
  • 趣味に関する出費(映画、書籍、習い事など)
  • 事業と無関係な健康器具・娯楽品など

ポイントは「業務に必要な支出かどうか」です。グレーゾーンの出費は、事業目的が明確であり、かつ説明責任を果たせることが前提になります。判断に迷う場合は税理士に相談しましょう。

Q.過去にさかのぼって何年分調査されますか?

通常の税務調査では、直近3年分が対象とされます。しかし、申告漏れが発覚した場合は5年、悪質な脱税が疑われる場合には最大7年間まで遡及調査が行われることもあります。たとえば、無申告・意図的な過少申告・架空経費の計上などが該当します。長期にわたる資料の保存が求められるのはこのためです。帳簿や領収書は最低でも7年間、しっかりと保管しておきましょう。

参考:フリーランスも税務調査される?必要な対応と注意点を紹介

税務調査は怖くない。正しい対策で安心を

税務調査は怖くない。正しい対策で安心を

税務調査と聞くと、「突然来る」「厳しく追及される」といったイメージを抱きがちですが、実際には正しく申告していれば恐れる必要はありません。フリーランスはすべて自己責任で納税を行う立場だからこそ、日々の記帳や書類整理、経費の使い方には慎重さが求められます。

また、税務調査を未然に防ぐためには、正確な帳簿作成と領収書管理、税理士との連携が大きな安心材料となります。売上が伸びてきたタイミングで、会計ソフトの導入や税理士との顧問契約を検討するのも良い対策です。

税務調査は、事業を続けていくうえで避けられない可能性のひとつですが、日頃から正しい対策を取っていれば、必要以上に不安を感じることはありません。本記事を参考に、今からできる備えを始めてみましょう。