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フリーランスの確定申告のやり方とは?必要な手続きや必要書類を解説

フリーランスとして収入を得ている場合、毎年必ず行わなければならないのが「確定申告」です。とはいえ、「何から始めればいいの?」「どんな書類が必要?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。確定申告は収入や経費を正しく申告し、税金を適正に納めるための大切な手続きです。

本記事では、フリーランスの確定申告の基本的な流れや必要な書類、押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

フリーランスでも確定申告は必要?その基準とは

フリーランスでも確定申告は必要?その基準とは

フリーランスとして仕事をしている人にとって、「確定申告は自分に必要なのか?」という疑問は非常に重要です。確定申告はすべてのフリーランスに義務づけられているわけではなく、一定の所得基準を超えた場合に必要になります。ここでは、フリーランスが確定申告をすべき基準や、申告が不要となるケース、そして申告した方が得になるケースについて解説します。

確定申告が必要なケースと所得の目安

フリーランスとして活動している場合、年間の所得(収入から必要経費を差し引いた金額)が以下の基準を超えると、確定申告が必要になります。

  • 事業所得が年間48万円を超える場合
    フリーランスの多くは「事業所得」として収入を得ています。この所得が基礎控除である48万円を超えると、確定申告の義務が生じます。つまり、年間の売上から経費を引いた金額が48万円を超えていれば、申告を行う必要があります。
  • 副業フリーランスで、給与所得がある場合
    会社員としての給与を得ながら、副業でフリーランスの仕事をしている人もいます。この場合、副業の所得(給与ではなく事業所得や雑所得)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。これは「20万円ルール」と呼ばれるもので、給与と副業を両立する人に適用される特例です。
  • 源泉徴収されている場合
    業務委託契約などで、報酬から源泉徴収(通常10.21%)されている場合、所得税の過不足を清算するために確定申告が必要です。とくに年間で多くの源泉徴収がされていると、確定申告によって還付が受けられる可能性もあります。
  • 医療費控除やふるさと納税などの控除を受けたい場合
    税金を軽減する制度を利用したい場合、たとえ所得が少なくても確定申告を行うことで節税効果を得られます。

また、所得税以外にも、住民税や国民健康保険の算出に確定申告の内容が使われるため、申告の有無はその後の税金・保険料にも影響します。

確定申告が不要なケースと申告した方がよいケース

一方で、フリーランスとしての活動実績があっても、以下のような条件であれば確定申告が不要となる場合もあります。

  • 所得が基礎控除以下(48万円以下)の場合
    売上から経費を引いた所得が48万円以下であれば、所得税の申告義務はありません。なお、これはあくまで「所得」であって「売上」ではない点に注意が必要です。
  • 副業で年間20万円以下の所得しかない場合
    会社員が副業フリーランスをしていて、事業所得や雑所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要とされています。ただし、住民税の申告は必要となるため、完全に無視できるわけではありません。
  • 専業主婦・学生などで所得が少ない場合
    パートやアルバイトに加え、フリーランスで少額の収入を得ているだけであれば、申告義務が発生しないこともあります。ただし、扶養の範囲を超えると家族の税負担にも影響するため注意が必要です。

一方で、「確定申告は不要だが、したほうがよい」ケースも存在します。

  • 源泉徴収された税金の還付を受けられる場合
    たとえば、報酬の支払先で源泉徴収された税金が、自身の実際の納税額より多かった場合は、確定申告によって税金の還付を受けられる可能性があります。
  • 青色申告を利用したい場合
    青色申告は確定申告を前提とした制度であり、最大65万円の控除が受けられます。これにより節税メリットが非常に大きくなるため、申告義務がない場合でも利用を前提に確定申告を行うべきです。
  • 社会的な証明として利用したい場合
    確定申告書の控えは収入証明書として利用できるため、住宅ローンの審査や補助金の申請などでも役立ちます。将来的な独立・事業拡大を考えている人は、早いうちから確定申告に慣れておくと安心です。

参考:フリーランスの確定申告のやり方は?青色申告のメリットや申告方法・必要書類について解説

フリーランスの確定申告には2種類ある

フリーランスの確定申告には2種類ある

フリーランスとして確定申告を行う際には、「白色申告」と「青色申告」の2つの方法から選ぶ必要があります。どちらを選ぶかによって、提出する書類の種類や必要な帳簿、受けられる控除額などに大きな違いがあるため、自分に合った申告方法を選ぶことが重要です。ここでは、白色申告と青色申告の違い、それぞれのメリット、そして青色申告で65万円控除を受ける条件について詳しく解説します。

白色申告と青色申告の違い

白色申告は、比較的手続きが簡単で、記帳や帳簿管理のハードルが低い申告方法です。開業時に特別な申請をする必要もなく、確定申告書と収支内訳書を提出すれば申告が完了します。帳簿も単式簿記でOKなので、会計知識がない初心者にも向いています。

一方、青色申告は事前に「青色申告承認申請書」を提出することで利用できる制度で、税制上のさまざまな優遇措置を受けられます。記帳方法は複式簿記が基本で、貸借対照表や損益計算書の作成も求められますが、その分控除額が大きく、節税効果が期待できます。

項目 白色申告 青色申告
開始手続き 不要 青色申告承認申請書の提出が必要
記帳方法 単式簿記(簡易) 複式簿記(または簡易帳簿)
控除額 なし 最大65万円(要件あり)または10万円
節税効果 小さい 大きい
帳簿の保存 簡易帳簿でOK 正確な帳簿が必要(7年間保存)

このように、白色申告は簡易である反面、控除などの優遇措置がないため、収入がある程度安定したフリーランスには青色申告がおすすめです。

青色申告のメリットと条件

青色申告には以下のような節税メリットがあり、フリーランスにとって非常に有利な制度です。

1.最大65万円の青色申告特別控除
一定の条件を満たせば、所得から最大65万円を控除できます。課税所得が減ることで、支払う所得税や住民税を大幅に減らすことが可能です。

2.赤字の繰越控除ができる
事業所得が赤字になった年は、その損失を最長3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できます。たとえば、開業初年度で赤字が出ても、次年度以降の黒字と差し引いて税額を抑えることが可能です。

3.家族への給与が経費になる(青色事業専従者給与)
配偶者や親族を事業に従事させている場合、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出すれば、その給与を必要経費として認めてもらえます。

4.貸倒引当金の設定が可能
回収不能な売掛金に備える「貸倒引当金」を必要経費として計上でき、税額を軽減する効果があります。

青色申告を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 税務署に対して「青色申告承認申請書」を期限内に提出していること
  • 事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかがあること
  • 所定の帳簿を正しく作成・保存していること

提出期限に関しては、新たに開業した年は開業日から2ヶ月以内、それ以外の場合は毎年3月15日までが申請期限となります。

参考:フリーランスに確定申告は必要?やり方から節税方法まで解説

65万円控除を受けるための要件

青色申告者が最大控除である65万円を受けるには、いくつかの具体的な要件を満たす必要があります。条件を満たせなければ、控除額は10万円に減額されるため注意が必要です。

以下が65万円控除を受けるための主な要件です。

  1. 複式簿記による帳簿作成を行っていること
    仕訳帳や総勘定元帳など、複式簿記に対応した帳簿をきちんと整備していることが必要です。
  2. 青色申告決算書を作成し、確定申告書に添付して提出していること
    収支内訳書ではなく、損益計算書・貸借対照表を含む青色申告決算書を提出しなければなりません。
  3. e-Taxによる申告、または電子帳簿保存を行っていること
    2020年分以降、65万円控除を受けるには、e-Taxでの電子申告または電子帳簿保存のいずれかが必要です。紙で提出する場合は、控除額は55万円に下がります。
控除額 要件
65万円 複式簿記+電子申告または電子帳簿保存
55万円 複式簿記+紙で申告
10万円 簡易簿記または帳簿の保存なし

フリーランスとして節税効果を最大化したいのであれば、これらの要件を満たして65万円の控除を受けることを強くおすすめします。帳簿づけや申告作業に不安がある場合は、会計ソフトの活用や税理士への相談も検討するとよいでしょう。

確定申告前に準備すべきこと

確定申告前に準備すべきこと

フリーランスとして確定申告をスムーズに行うためには、事前の準備が欠かせません。特に青色申告を選択する場合には、提出すべき書類や帳簿の整備といった要件があるため、開業当初からしっかりと準備しておく必要があります。ここでは、確定申告を行う前にフリーランスが取り組んでおくべき3つの重要なポイントを紹介します。

開業届の提出とそのメリット

フリーランスとして税務上の事業者になるには、「個人事業の開業・廃業等届出書(通称:開業届)」を税務署に提出する必要があります。提出先は開業時点で住民票がある地域を管轄する税務署で、開業日から1ヶ月以内が提出期限とされています(期限を過ぎても受理されますが、青色申告を希望する場合は注意が必要です)。

開業届を提出するメリットは以下のとおりです。

  • 青色申告ができるようになる
    開業届を出さないと、そもそも青色申告の申請ができません。最大65万円の控除や赤字の繰越など、青色申告による節税効果を得たい場合は、開業届の提出が必須です。
  • 屋号を使った名義での取引が可能になる
    屋号名義で銀行口座を開設したり、請求書に記載したりすることができ、ビジネスの信頼性が高まります。
  • 事業所得として確定申告できる
    開業届を提出することで、収入は「雑所得」ではなく「事業所得」として扱われるようになります。これにより経費の計上がしやすくなり、節税にも有利です。

開業届は紙で税務署に持参または郵送する方法のほか、e-Taxを利用したオンライン提出にも対応しています。freee開業やマネーフォワード開業など、必要項目を入力するだけで書類が自動作成される便利なツールもあるので、初めての方は活用するとよいでしょう。

青色申告承認申請書の提出

青色申告を希望する場合、開業届とは別に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。この申請書は青色申告を始めたい年の3月15日までに提出する必要があり、新たに開業する場合は開業日から2ヶ月以内が提出期限です。

申請書には、事業の概要や帳簿の種類、提出者の基本情報などを記載します。この書類を提出して承認されると、青色申告が正式に認められ、特別控除や赤字の繰越などの優遇措置を受けられるようになります。

注意点として、申請が期限を過ぎるとその年は白色申告扱いになるため、早めに提出することが大切です。青色申告は初年度の申請が肝心なので、開業届とセットで準備しましょう。

また、配偶者や親族に給与を支払って経費に計上したい場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」もあわせて提出しておく必要があります。

帳簿づけとレシート・領収書の整理

フリーランスの確定申告では、日々の収支を正確に記録する帳簿づけが基本となります。特に青色申告では、複式簿記に基づいた帳簿が求められ、仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿を整備して保存する必要があります。

帳簿づけのポイントは以下のとおりです。

  • 事業に関するすべての取引を記録すること
    売上、仕入、経費、支払手数料、交通費など、事業に関係する支出・収入はすべて記帳対象となります。
  • 現金取引・銀行振込・クレジットカードなどの支払い手段を明確に分けて記帳する
    帳簿がわかりやすくなるほか、確定申告書の作成もスムーズに進みます。
  • 証拠となる書類(レシート・領収書・請求書など)を整理・保存する
    領収書やレシートなどの証拠書類は、最低でも7年間保存が必要です。紙で保存するほか、スキャナやスマートフォンアプリでデジタル保存する方法も認められています(電子帳簿保存法に準拠する必要あり)。

会計ソフトを導入すれば、帳簿作成が自動化され、日々の仕訳や帳簿づけも効率的になります。freee、マネーフォワード、弥生などのクラウド会計ソフトは、フリーランスの利用が多く、e-Taxにも対応しているため非常に便利です。

帳簿の整備と証拠書類の保存は、確定申告の信頼性を高めるだけでなく、万が一の税務調査にも対応できる体制づくりにもつながります。

参考:確定申告はどのように準備する?必要書類や事前準備などを解説

フリーランスの確定申告の流れ

フリーランスの確定申告の流れ

フリーランスとして確定申告を行う際、「何から始めればよいのか分からない」「どのタイミングで何を提出すればいいのか不安」という方も多いでしょう。確定申告は毎年行う必要があるため、早い段階で一連の流れを把握しておくことが重要です。ここでは、フリーランスが確定申告を行うための具体的なステップを4段階に分けて解説します。

①売上・経費・控除情報を整理する

確定申告の第一歩は、申告対象期間の「所得」を正確に把握することです。所得とは、売上(収入)から必要経費を差し引いた金額のことで、この所得額をもとに納税額が計算されます。

まずは、以下の情報を整理しましょう。

  • 売上(収入)データ
    1月1日から12月31日までのすべての取引(請求書や入金記録)を集計します。振込口座の明細、請求書の控え、クラウドソーシングなどのプラットフォームの報酬画面も参考にします。
  • 必要経費のデータ
    事業に関連する支出を経費として集計します。交通費、通信費、事務用品、外注費、家賃の一部(自宅兼事務所の場合)などが該当します。支出の証拠として領収書やレシート、クレジットカードの明細も保管しておきます。
  • 控除に関する資料
    社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税)など、所得控除の対象となる証明書を収集しておきます。これらは納税額を減らす上で非常に重要です。

これらのデータを整理しておくことで、次の「申告書作成」がスムーズに進みます。帳簿ソフトを導入していれば自動で集計できるため、日頃からこまめに入力しておくと安心です。

②申告書を作成し添付書類を準備する

次に行うのは、所得や控除の情報をもとに確定申告書を作成する作業です。フリーランスが使うのは主に「確定申告書B」で、青色申告を選んでいる場合は「青色申告決算書」も併せて作成します。

申告書に記載する主な内容は以下の通りです。

  • 総収入額・必要経費・所得金額
  • 所得控除額の合計
  • 税額計算結果(納付額・還付額)

青色申告をしている場合は、損益計算書・貸借対照表などを含む「青色申告決算書」を正確に作成し、添付する必要があります。帳簿づけが複式簿記であることや、e-Taxでの提出要件もここで関係してきます。

また、添付書類として以下のものも準備しておきましょう。

  • 各種控除の証明書(保険料控除証明書、医療費の領収書など)
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 源泉徴収票(フリーランスであっても支払先から源泉徴収されている場合)

申告書の作成は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や、freee会計・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを活用することで、大幅に簡略化できます。自動計算や帳簿連携、電子申告まで対応しているため、ミスを防ぎやすいのも利点です。

参考:【初心者向け】フリーランスの確定申告は難しい?申告の基本や必要書類を解説!

③税務署へ提出、またはe-Taxで申告する

申告書と添付書類が整ったら、次は税務署に提出します。提出方法は以下の3通りです。

  • 税務署の窓口に持参する
    提出期間中(通常は2月16日~3月15日)に管轄の税務署へ持って行きます。控えを返却してもらう場合は、申告書を2部用意し、返信用封筒と切手を同封することも忘れずに。
  • 郵送で提出する
    期日必着ではなく、消印有効です。郵送による提出は、混雑を避けたい人や遠方の税務署へ提出する場合に便利です。
  • e-Tax(電子申告)を利用する
    自宅のパソコンから申告可能で、最も効率的な方法です。マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマホを活用したログイン手続きが必要になります。青色申告の65万円控除を受けたい場合にも、e-Taxは必須条件となっています。

提出が完了すると、いよいよ税金の納付または還付が行われます。

④納税または還付手続きを行う

確定申告書を提出した後は、申告結果に基づいて税金を納める、または還付金を受け取る手続きが発生します。

  • 納付の場合
    所得税の納付期限は申告期限と同じく毎年3月15日です。納付方法には以下の選択肢があります。


    • 金融機関・コンビニでの現金納付
    • 口座振替(事前の手続きが必要)
    • インターネットバンキング(ダイレクト納付)
    • クレジットカード納付(手数料がかかる)

納付が遅れると延滞税などのペナルティが課されるため、必ず期限内に支払うようにしましょう。

  • 還付の場合
    源泉徴収などで納めすぎた税金がある場合は、申告から1〜2か月程度で指定口座に還付金が振り込まれます。還付の内容は「国税還付金振込通知書」で通知されます。

また、申告後も帳簿や領収書の保管義務は続きます。青色申告では原則7年間、白色申告でも5年間の保存が必要です。

確定申告に必要な書類一覧

確定申告に必要な書類一覧

フリーランスが確定申告を行うには、さまざまな書類を事前に準備しなければなりません。提出する書類と添付する証明書類が正しく揃っていなければ、申告が受理されなかったり、控除が認められなかったりする可能性もあるため、事前の準備が非常に重要です。ここでは、確定申告に必要な主な書類と、それらを準備する際の注意点を解説します。

提出が必要な書類(申告書B・青色決算書など)

フリーランスの確定申告において、必ず提出しなければならない基本書類は以下の通りです。

  • 確定申告書B
    個人事業主やフリーランスが使う基本の申告書です。年間の総収入、所得控除、税額などを記入します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使えば、自動で出力できます。
  • 収支内訳書(白色申告の場合)
    白色申告を選んだフリーランスは、1年間の売上や経費をまとめた「収支内訳書」を確定申告書Bとともに提出します。単式簿記で記帳していれば、比較的簡単に作成できます。
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)
    青色申告を選んだ場合は、「損益計算書」と「貸借対照表」を含む青色申告決算書を提出する必要があります。複式簿記による記帳が求められ、数字の整合性も重視されます。
  • 事業に関する帳簿類(提出は不要だが保存義務あり)
    仕訳帳、総勘定元帳などの帳簿類は提出は不要ですが、税務署から求められた場合に備えて原則7年間の保存義務があります。

これらの書類は、e-Taxで電子申告する場合も紙で提出する場合も必要です。申告方式に関わらず、正確かつ漏れのない作成を心がけましょう。

添付が必要な証明書類(控除・保険・年金等)

控除を受ける場合には、その内容を証明する書類の添付が必要です。以下に主な添付書類の種類を紹介します。

  • 社会保険料控除証明書
    国民年金、国民健康保険などの支払いを証明するために必要です。年末頃に日本年金機構や自治体から送られてくる通知を保存しておきましょう。
  • 生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書
    生命保険や地震保険の契約会社から年末に送られてくる証明書を添付します。
  • 医療費控除の明細書
    1年間にかかった医療費が10万円を超える場合、または総所得の5%を超える場合は医療費控除が可能です。医療費の領収書は提出不要ですが、「医療費控除の明細書」は提出が必要です。
  • 寄附金控除に関する証明書(ふるさと納税など)
    自治体などから送付される「寄附金受領証明書」が必要になります。ワンストップ特例制度を利用していない場合は、確定申告が必要です。
  • 源泉徴収票(報酬から源泉徴収されている場合)
    報酬が源泉徴収されている場合、支払者から受け取る源泉徴収票を添付して税額調整を行います。

いずれも原本を提出する必要がある場合があるため、コピーではなく正規の証明書を忘れずに用意しましょう。

書類を準備する際の注意点

確定申告の書類を準備する際は、以下のポイントに注意することでミスやトラブルを防ぐことができます。

  • 1年分をまとめて処理しない
    書類の整理や帳簿づけを1年分まとめて行うと、記載漏れや証拠書類の紛失につながりやすくなります。日常的に帳簿と領収書を整理しておくことが理想です。
  • 証明書類は封筒に保管し、申告前にチェックリストで確認する
    保険控除や医療費などの証明書は種類も多いため、カテゴリごとに整理しておくと申告時にスムーズです。
  • 電子申告をする場合でも添付が必要なケースがある
    e-Taxを利用する場合、一部の控除証明書は画像データやPDFとして添付できます。ただし、証明書の形式やデータサイズに制限があるため、事前に確認が必要です。
  • 申告内容と証明書の内容に矛盾がないかチェックする
    たとえば、控除額と証明書に記載された金額が一致していないと、控除が否認される恐れがあります。提出前には必ず再確認しましょう。

正確な申告とスムーズな処理のためにも、必要な書類は早めにリストアップし、漏れなく準備しておくことが重要です。

参考:確定申告はフリーランスに必須!やり方や必要書類と経費管理のコツ

節税につながる控除と経費

節税につながる控除と経費

フリーランスにとって、確定申告は単なる義務ではなく、節税のチャンスでもあります。特に青色申告を活用すれば、合法的に税負担を減らすための制度が数多く用意されています。ここでは、所得税や住民税の節税に直結する「所得控除」「税額控除」、そして「必要経費」として認められる支出の種類、さらに「赤字でも確定申告をするべき理由」について詳しく解説します。

所得控除と税額控除の具体例

確定申告における控除には、大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。それぞれの目的と節税効果の違いを理解しておくことが重要です。

  • 所得控除とは?
    課税対象となる所得額を減らす仕組みです。たとえば、所得が300万円で所得控除が50万円あれば、課税対象となるのは250万円となります。主な所得控除の種類は以下のとおりです。
    • 基礎控除(全員に適用。48万円)
    • 配偶者控除、扶養控除(家族構成に応じて適用)
    • 社会保険料控除(国民年金・健康保険など)
    • 生命保険料控除、地震保険料控除
    • 医療費控除(医療費が一定額を超えた場合)
    • 寄附金控除(ふるさと納税など)
  • 税額控除とは?
    算出された税額そのものを差し引く制度です。たとえば、税額が10万円で税額控除が2万円あれば、実際の納税額は8万円となります。金額の効果が直接的に表れるため、強力な節税手段となります。代表的な税額控除には以下があります。
    • 住宅ローン控除(住宅を購入した人)
    • 配当控除(株式の配当を受け取っている人)
    • 外国税額控除(海外で所得税を納めている場合)

これらの控除制度は、正しく理解して確実に適用することが節税の第一歩です。控除証明書の準備も早めに行いましょう。

経費にできる費用の種類

フリーランスにとって、事業に必要な支出は「必要経費」として計上することで課税所得を減らすことができます。以下は代表的な経費の例です。

  • 通信費
    スマートフォン代やインターネット回線費用など、業務に関連する通信費が対象になります。
  • 交通費・旅費
    打ち合わせや出張にかかる交通費や宿泊費も経費にできます。タクシー代や電車代は領収書や記録が残っていることが前提です。
  • 消耗品費
    文房具、プリンター用紙、USBメモリなど、1点あたり10万円未満の消耗品は経費として処理できます。
  • 外注費
    デザイン、ライティング、プログラミングなどを外注した際の報酬も経費として認められます。
  • 家賃・光熱費の一部(自宅兼事務所の場合)
    自宅の一部を事業に使っている場合、その面積割合や使用時間に応じて「家事按分」し、家賃や水道光熱費の一部を経費にできます。
  • 会議費・接待交際費
    打ち合わせに伴うカフェ代やクライアントとの食事代も、目的と相手が明確であれば経費になります。
  • 減価償却費
    10万円以上の備品(パソコン、カメラなど)は数年にわたって費用化する「減価償却」が必要です。ただし、30万円未満の備品については青色申告者に限り、一括で経費計上する特例制度(少額減価償却資産の特例)もあります。

必要経費として認められるかどうかのポイントは、「事業との関係性があるかどうか」です。プライベートな支出と混同しないよう、領収書は用途ごとに整理し、帳簿にも明確に記載しておくことが重要です。

赤字でも申告するメリット

フリーランスがその年の所得で赤字になってしまった場合でも、「赤字だから確定申告しなくていい」と考えるのは早計です。むしろ、赤字だからこそ確定申告をするべき理由がいくつも存在します。

  • 赤字を翌年以降に繰り越せる(青色申告のみ)
    青色申告を行っている場合、赤字は最大3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺することができます。たとえば、1年目に50万円の赤字が出た場合、2年目が100万円の黒字であっても、50万円分が差し引かれ、課税対象は50万円となります。
  • 住民税や国民健康保険料の軽減につながる
    赤字であっても、確定申告を行うことで正しい所得が自治体に報告されるため、住民税や国民健康保険料の負担が軽くなるケースがあります。
  • 収入証明書として利用できる
    確定申告書の控えは、公的な収入証明書として使えるため、家を借りる、ローンを組む、補助金や助成金を申請するなどの場面で役立ちます。赤字であっても提出しておくことで、フリーランスとしての活動実績を示すことが可能です。

このように、たとえ利益が出ていなくても確定申告を行うことで、翌年以降の節税や各種手続きで有利になる場面は多くあります。

参考:フリーランスの確定申告のやり方!10年超えが教える5つの工夫

確定申告ソフトで効率的に処理する方法

確定申告ソフトで効率的に処理する方法

フリーランスとして確定申告を行う際、「帳簿づけや申告書の作成が難しい」「時間がかかって面倒」と感じる方は少なくありません。そんな課題を解決してくれるのが、クラウド会計ソフトの活用です。ここでは、主要な確定申告ソフトの種類と比較、各ソフトの特徴、そして申告を自動化する具体的な手順を紹介します。

会計ソフトの種類と比較

現在フリーランス向けに提供されている確定申告対応ソフトは、大きく以下の3つに分類されます。

  • クラウド型会計ソフト
    インターネット環境があればどこでも利用可能で、自動連携や自動仕訳など効率化機能が豊富。代表例:freee、マネーフォワードクラウド会計。
  • インストール型会計ソフト
    PCにインストールして使用するタイプ。オフラインでも使えるが、自動連携機能が乏しい傾向がある。代表例:弥生会計。
  • スマホアプリ型ソフト
    スマートフォンで手軽に入力・申告ができるもの。移動が多いフリーランスや副業ユーザー向け。簡易的な操作に特化。

クラウド型はとくに人気が高く、銀行口座やクレジットカードとの連携機能により、帳簿づけや申告書作成の手間を大幅に省けるのが特徴です。

freee・マネーフォワード・やよいの特徴

代表的なフリーランス向け確定申告ソフトの特徴を比較すると、次のようになります。

  • freee会計
    初心者向けに特化したUIが魅力。取引を「〇✕形式の質問」に答えるだけで帳簿づけが完了。開業届や青色申告承認申請書の作成も可能。スマホアプリでもフル機能が利用でき、時間と場所を選ばず操作可能。
  • マネーフォワードクラウド確定申告
    ビジネスの成長に応じてカスタマイズしやすく、データ分析機能も充実。銀行・カード・請求書・POSなどとの連携数が多く、中級者〜上級者におすすめ
  • やよいの青色申告オンライン
    会計の基礎知識がある人向け。費用がリーズナブルで、青色申告特化型。操作はやや専門的だが、サポート体制が強固。

いずれもe-Taxに対応しており、青色申告特別控除の65万円を適用する際の電子申告にも便利です。

ソフト活用で申告を自動化する手順

確定申告ソフトを活用すると、以下の流れで作業を効率化できます。

  1. 初期設定
    事業内容、開業日、帳簿方式(複式簿記/単式簿記)などを登録。
  2. 金融機関と自動連携
    銀行口座・クレジットカード・電子マネーなどと連携し、入出金データを自動取得。
  3. 取引の自動仕訳
    取得データにルールを設定して、自動で勘定科目が振り分けられるようにする。
  4. 帳簿・決算書の自動作成
    仕訳データから青色申告決算書や収支内訳書を自動生成。
  5. e-Taxでの電子申告
    マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマホ認証を使ってオンライン提出。

この一連の流れがソフトによって半自動化されることで、ミスを防ぎながら、時短かつ正確な申告が可能になります。会計の専門知識がないフリーランスにこそ、会計ソフトの導入は大きなメリットがあります。

参考:確定申告のやり方とは?必要書類や記入方法を初心者向けにわかりやすく解説

確定申告しないとどうなる?ペナルティのリスク

確定申告しないとどうなる?ペナルティのリスク

フリーランスが確定申告を忘れたり、故意に申告しなかったりした場合には、法律で定められた「税務上のペナルティ」が課されることがあります。また、青色申告の特典を受けられなくなるなど、長期的にも不利益を被る可能性があります。ここでは、主なペナルティの種類と、控除への影響について解説します。

延滞税・無申告加算税の概要

確定申告を期限(例年は3月15日)までに行わなかった場合、以下のようなペナルティが課せられます。

  • 延滞税
    税金の納付が遅れた場合に発生します。納期限の翌日から支払うまでの日数に応じて加算され、年利7.3%(※)を上限とする高率が設定されています。納付が遅れるほど金額も膨らむため注意が必要です。
  • 無申告加算税
    申告を怠った場合に課される追加課税で、納付すべき税額の5〜20%が加算されます。税務署からの指摘を受ける前に自主的に申告すれば、軽減措置を受けられることもあります。
  • 重加算税
    意図的な隠蔽・仮装があると判断された場合、35〜40%もの重加算税が課されることがあります。領収書の改ざんや売上の過少申告が該当します。

これらのペナルティは、納税額に対して加算されるため、結果として大きな税負担につながることがあります。

控除が適用されない・青色申告が取り消されるケース

確定申告の遅延やミスによって、本来受けられるはずの控除が無効になることもあります。

  • 青色申告特別控除の適用除外
    提出期限までに申告を行わないと、青色申告による65万円または55万円の特別控除が適用されなくなります。控除が受けられなければ、その分納税額が増えることになります。
  • 翌年以降の青色承認が取り消される可能性
    度重なる期限遅れや虚偽の申告があると、青色申告の承認自体が取り消されることがあります。青色事業専従者給与や赤字の繰越といったメリットも失うため、信頼維持のためにも期限厳守が重要です。
  • 各種控除が適用されない
    保険料控除や寄附金控除なども、証明書の添付や記載漏れによって認められない場合があります。

このように、確定申告を怠ることは金銭的・制度的に大きな損失につながるため、毎年のスケジュールを把握し、早めに準備を進めることが重要です。

参考:個人事業主の開業1年目、初めての確定申告の方法について

よくある質問

よくある質問

Q.副業でも確定申告は必要?

副業としてフリーランスの仕事をしている場合でも、一定の条件を超えれば確定申告は必要になります。具体的には、会社員などとして給与所得がある人が、フリーランスとして得た事業所得や雑所得の合計が年間20万円を超える場合、確定申告が義務付けられています(いわゆる「20万円ルール」)。

ただし、このルールは所得税の申告義務を免除するものであって、住民税の申告は別途必要となる場合があるため注意が必要です。たとえ副業の所得が20万円以下であっても、市区町村には所得情報を伝える必要があるケースがあるため、管轄の自治体に確認しましょう。

また、開業届を提出していれば「事業所得」として青色申告が可能となり、控除や赤字の繰越といった節税効果も期待できます。

Q.フリーランスでも還付は受けられる?

はい、フリーランスでも条件を満たせば所得税の還付を受けることができます。特に以下のようなケースで還付が発生する可能性があります。

  • 報酬から源泉徴収されている場合
    クライアントから報酬を受け取る際に、10.21%の源泉徴収がされている場合、その年の経費や控除によっては、納めすぎた税金が戻ってくることがあります。
  • 所得控除や税額控除を適用した場合
    医療費控除やふるさと納税、生命保険料控除などにより、税額が下がることで還付が発生するケースがあります。
  • 開業初年度などで所得が少ない場合
    経費が収入を上回るなどして課税所得がマイナスになった場合でも、すでに納税している分については還付されることがあります。

このように、申告によって納税額が再計算され、払いすぎていた税金が戻ってくる制度が「還付申告」です。還付申告は申告義務がなくても可能で、5年以内であれば遡って申請できます。

Q.確定申告書の控えは何に使う?

確定申告書の控えは、フリーランスとして活動するうえでさまざまな場面で必要になる重要な書類です。主な用途は以下の通りです。

  • 収入証明として利用
    住宅ローンの審査、賃貸契約、子どもの保育園入園手続きなどで、収入を証明する書類として提出が求められます。フリーランスは給与明細がないため、申告書の控えがその代替となります。
  • 融資や補助金・助成金の申請時に必要
    事業資金の借り入れや補助金申請時に、直近の確定申告書の写しが必要になるケースが多くあります。
  • 青色申告や開業届を出している証明として
    確定申告書の提出履歴があることで、継続的な事業活動の証明にもなります。税務署で「収受日付印」が押された控えをもらっておくと、証明書としての信頼性が高まります。

提出時には、2部用意して1部に税務署の収受印をもらうか、e-Taxで控えをPDF保存するようにしましょう。

まとめ:確定申告を正しく理解して賢く節税しよう

まとめ:確定申告を正しく理解して賢く節税しよう

フリーランスとして活動する以上、確定申告は避けては通れない大切な手続きです。しかし正しく理解し、早めに準備を進めれば、必要以上の税金を払うことなく、節税メリットを最大限に活かすことができます

青色申告の活用、控除制度の適用、経費計上の工夫など、フリーランスには多くの節税手段が用意されています。さらに、確定申告を通じて事業の収支を客観的に把握できることも、経営改善の第一歩となるでしょう。

「申告の準備は大変」と感じる方も、会計ソフトや専門家の力を借りれば、想像以上にスムーズに進められます。義務としてだけでなく、自分のビジネスを守り育てるための大切なプロセスとして、確定申告を前向きに捉えて取り組んでいきましょう。