フリーランスのメリット・デメリットとは？会社員や個人事業主との違いも解説
フリーランスとして働くことに興味はあるけれど、「自由に働けるって本当？」「会社員や個人事業主とは何が違うの？」と疑問を感じている方も多いはず。フリーランスには、時間や場所に縛られない自由な働き方や収入の可能性が広がるというメリットがある一方で、収入の不安定さや自己管理の大変さといったデメリットも存在します。
本記事では、フリーランスのメリット・デメリットを整理しながら、会社員や個人事業主との違いについてもわかりやすく解説します。
フリーランスとは？まずは定義と働き方を理解しよう
フリーランスの基本的な意味とは
「フリーランス」とは、特定の会社や組織に雇用されず、個人として業務委託契約などを結び、自由な働き方をする人のことを指します。Webデザイナーやライター、プログラマー、カメラマンなど、専門スキルを持つ人が自ら仕事を選び、請け負うスタイルが主流です。昨今ではIT分野を中心に、フリーランスという働き方が急速に広がっており、働き方改革や副業解禁などを背景に、年々その数は増加しています。
フリーランスの最大のメリットは、時間や場所に縛られない柔軟な働き方ができることです。会社に出社する必要がなく、自分のライフスタイルに合わせて働く時間を調整できます。また、業務内容も自分の得意な分野に集中することができるため、ストレスの少ない働き方が可能です。
さらに、会社員のように固定給ではなく成果報酬型の仕事が多いため、スキルや実績によっては大きな収入アップも見込める点も、フリーランスの魅力といえるでしょう。収入の上限が決まっていないという自由さも、フリーランスならではの大きなメリットです。
一方で、自由には責任が伴います。すべての仕事は自分で獲得し、契約書の作成や納税・請求・事務処理なども自身で対応しなければなりません。こうした業務をこなす能力もフリーランスには求められます。
フリーランスと個人事業主・自営業・会社員の違い
フリーランスと混同されやすい用語に「個人事業主」や「自営業」がありますが、厳密には少し意味合いが異なります。
まず、「個人事業主」は税務署に開業届を提出した上で、事業所得を得ている人のことを指します。フリーランスの多くはこの個人事業主の形態で活動しています。つまり、「フリーランス」は働き方や契約スタイルを指す言葉であり、「個人事業主」は税務上の区分です。フリーランスはその大半が個人事業主である一方で、飲食店経営者や小売業者などのように、個人事業主＝フリーランスではないケースもあります。
また、「自営業」はより広い概念で、個人でビジネスを営むすべての人を指します。法人経営者であっても「自営業者」に含まれることがあります。
一方、「会社員」は企業と雇用契約を結び、給与を得ている人のことです。会社員のメリットとしては、収入が安定していることや、社会保険・厚生年金といった福利厚生が整っている点が挙げられます。また、税金関係も会社が代行してくれるため、煩雑な手続きはほとんど発生しません。
しかし、その反面、労働時間や勤務地は会社の指示に従う必要があり、業務内容を自分で選ぶ自由は基本的にありません。その点、フリーランスは自らの裁量で働き方を決められるという自由度の高さが際立ちます。
近年は、副業としてフリーランス的な働き方を始め、収入や実績を積んだのちに本業に転じる人も増えています。会社員とフリーランス、どちらが優れているかというよりも、自分のライフスタイルやキャリアビジョンに合った働き方を選ぶことが重要です。
参考：【体験談あり】フリーランスのメリット・デメリットは？実情や適性も解説
フリーランスのメリットとは？自由な働き方の魅力を解説
フリーランスという働き方が注目される理由は、その「自由度」と「裁量の大きさ」にあります。会社員にはない働き方の柔軟さや、収入面・精神面における独自のメリットが多く、近年では副業からのスタートを経てフリーランスとして独立する人も増えています。
本章では、フリーランスとして働くことの具体的なメリットについて詳しく解説します。
時間・場所に縛られず働ける
フリーランス最大のメリットといえば、時間や場所にとらわれない働き方ができることです。決まった時間にオフィスに出社する必要がなく、自宅やカフェ、コワーキングスペース、時には旅先からでも仕事が可能です。PCとインターネット環境さえあれば、どこでも業務を行えるという柔軟さは、フリーランスならではの魅力です。
また、ライフスタイルに合わせて1日のスケジュールを自由に組み立てることができるため、たとえば子育てや介護、趣味との両立もしやすくなります。通勤時間が不要になったことで生まれた余裕を、自己研鑽や副業、プライベートに活用することも可能です。
得意な仕事を選んで挑戦できる
フリーランスは、自分の得意分野や好きな業務に特化して仕事を選べるという点でも大きなメリットがあります。会社員のように部署異動や業務命令によって望まない仕事を任されることはなく、自らが主体となって案件を選び、提案し、受注するという流れが基本です。
たとえばWebデザイナーであれば、デザインテイストや業界ジャンル、ツールに応じて自分が活躍しやすい案件に絞って受注することができます。ライターであれば、執筆ジャンルや納期条件など、自分のスタイルに合った案件を選ぶことで、無理なく成果を出すことが可能です。
この「選べる」という自由は、仕事へのモチベーションにも直結し、クオリティやパフォーマンスの向上にもつながります。
参考：増えすぎとも言われるフリーランスの実態は？個人で働くメリット・デメリットを解説
頑張り次第で収入アップも可能
フリーランスは成果主義の働き方が多く、時間ではなくスキルや実績に対して報酬が支払われるケースが一般的です。つまり、経験を積み、スキルを磨いていけば、報酬単価が上がる、より大きな案件に挑戦できる、継続契約につながるといったかたちで、収入を大きく伸ばせる可能性があります。
会社員のように年功序列や固定給に縛られることなく、自分の働き方と努力次第で年収1,000万円以上を目指すことも現実的です。実際、ITエンジニアやマーケターなど一部のフリーランス職種では、フルリモートで年収1,200万円超の求人も存在しています。
一方で、収入が不安定になるリスクもあるため、継続案件の確保や複数の収入源の確立など、自ら戦略的に働く力が求められます。
人間関係のストレスが少ない
職場の人間関係が原因で会社員を辞め、フリーランスの道に進む人は少なくありません。フリーランスであれば基本的にチームへの常駐や人事的なしがらみとは無縁であり、自分の裁量でクライアントや取引先を選べる点が大きなメリットです。
クライアントとのやり取りはメールやチャット、オンライン会議が中心となり、不要な雑談や業務外の付き合いに時間を取られることがありません。人間関係に煩わされることなく、業務に集中したいという人にとって、フリーランスの働き方は非常に快適です。
もちろん、プロジェクトによってはチームで協働することもありますが、基本的には契約ベースの関係であるため、会社員のように上下関係に気を遣いすぎる必要もありません。
経費を使って節税できる
フリーランスになると、業務に関する支出を「経費」として計上できるようになります。これにより、所得税や住民税の課税対象となる「課税所得」を減らすことができ、結果として節税効果が期待できます。
たとえば、パソコンやスマートフォン、インターネット通信費、業務に使うソフトウェア、コワーキングスペース利用料、書籍代、取材や打ち合わせにかかった交通費などが代表的な経費です。自宅の一部を事務所として使っていれば、家賃や光熱費の一部も「家事按分」で経費として処理可能です。
会計ソフトの活用や税理士への相談を通じて、適切な経費処理を行うことで、フリーランスの節税メリットを最大限に活かすことができます。
ライフスタイルに合わせた働き方ができる
フリーランスは、自分のライフステージや価値観に合わせて、柔軟に働き方を変えられるのも大きなメリットです。たとえば、出産や育児、介護など家庭の事情に合わせて稼働時間を調整したり、平日を休みにして土日に働くスタイルにしたりすることも可能です。
また、趣味や学び直し、副業など、自分の時間を確保しながら生活の質を高める働き方ができる点も魅力です。人生100年時代においては、定年のないフリーランスの働き方こそ、将来的なキャリア設計に柔軟性を持たせる選択肢といえるでしょう。
このように、ワークライフバランスを自分で設計しやすい点は、フリーランスの大きなメリットのひとつです。
フリーランスの税制面のメリット
税制面においても、フリーランスには大きなメリットがあります。特に「青色申告」が適用される個人事業主として活動すれば、最大65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。これにより、課税所得を大きく抑えることができ、節税につながります。
さらに、フリーランスには「所得控除」や「必要経費」を活用した柔軟な税務処理が認められており、家族を従業員として給与を支払う「専従者給与」制度を使うことで、所得の分散と節税を同時に実現することも可能です。
また、将来的な備えとして「小規模企業共済」や「iDeCo（個人型確定拠出年金）」を活用することで、税負担を軽減しつつ、老後資金を積み立てることもできます。
これらの制度をうまく活用することで、会社員以上に手取り額を高める工夫ができる点も、フリーランスの大きなメリットです。
参考：フリーランスのメリット・デメリットとは？10人のフリーランサーに聞いたリアルな声をまとめました！
フリーランスのデメリットとは？独立の落とし穴を知っておこう
自由な働き方が魅力のフリーランスですが、その裏にはいくつかの落とし穴も存在します。フリーランスのメリットばかりに目を向けて独立すると、想定外の壁にぶつかる可能性があります。ここでは、フリーランスという働き方を選ぶうえで知っておきたい代表的なデメリットについて詳しく解説します。
収入が不安定で生活基盤が不安になる
フリーランス最大のデメリットは、収入の不安定さです。会社員と異なり、毎月決まった給与が保証されているわけではありません。案件の受注状況や報酬の支払いサイト（入金までの期間）、さらには景気や市場の変化によって、収入が大きく上下するリスクがあります。
特にフリーランスとして駆け出しの頃は、継続的な案件を確保するまでに時間がかかるため、事前の資金準備が欠かせません。生活費や事業資金を安定させるためには、収支の管理力や貯蓄力も求められます。
社会保険・年金が手薄になりやすい
会社員であれば厚生年金や健康保険に加入しており、企業が保険料の半分を負担してくれます。しかしフリーランスになると、原則として国民年金と国民健康保険に切り替わり、保険料は全額自己負担となります。
その結果、将来の年金受給額が少なくなりやすく、病気やケガの際の保障も限定的です。任意加入や民間保険の利用、小規模企業共済などの制度を組み合わせることで一定の備えは可能ですが、制度内容を正しく理解し、自分で判断・選択する必要があります。
社会的信用が得づらく、審査に通りにくい
フリーランスは雇用されていないため、金融機関や不動産業者などから「不安定な立場」と見られることがあります。そのため、住宅ローンやクレジットカードの審査、賃貸契約などで会社員よりも不利な扱いを受けるケースが多いのが実情です。
開業から一定期間が経ち、安定した売上と確定申告書類を提示できるようになれば審査が通りやすくなるケースもありますが、信用を得るには時間と実績が必要です。フリーランスになる前に必要な契約を済ませておく、屋号付きの銀行口座を用意するなどの対策が求められます。
営業・経理・確定申告も自分で行う必要がある
フリーランスは業務の実務だけでなく、営業・契約・請求・経理・納税など、すべての業務を自分で管理しなければなりません。特に営業面では、安定した案件を確保するための継続的なアプローチや人脈作りが必要になります。
また、経費の記録や帳簿づけ、確定申告も自分で行う必要があり、ミスや遅延が発生すれば税務上のリスクにもなりかねません。最近では会計ソフトやクラウドサービスの活用で効率化は進んでいますが、最低限の経理知識は不可欠です。
孤独を感じやすい
フリーランスは基本的にひとりで仕事をこなすことが多く、職場での雑談や飲み会といったコミュニケーションの機会はほとんどありません。人と話す時間が極端に減り、孤独を感じる人も少なくないのが実情です。
特に在宅ワーク中心の場合、社会との接点が希薄になりがちで、精神的に落ち込んでしまうこともあります。コワーキングスペースの利用やオンラインコミュニティへの参加など、意識的に人とのつながりを持つ工夫が必要です。
スキルアップの仕組みがない
会社員であれば、定期的な研修やOJTなど、スキルアップの機会が与えられることが多いですが、フリーランスにはそうした仕組みがありません。自ら情報を取りに行き、必要なスキルを自主的に学び、常に最新の知識を身につける必要があります。
技術やトレンドの変化が激しい業界では、学びを怠るとすぐに市場価値が下がってしまうこともあります。オンライン講座や業界セミナーへの参加、書籍の読破、実案件を通じた経験の蓄積など、日々の自己研鑽が重要です。
参考：フリーランスで働くメリットとデメリットは？成功するポイントも解説
会社員・個人事業主との違いを徹底比較
フリーランスという働き方は、会社員や個人事業主とどう違うのか？それぞれの立場には異なる特徴があり、自分に合った働き方を選ぶには、それらの違いをしっかり把握することが重要です。
ここでは「働き方・契約形態」「税金・社会保険・福利厚生」「収入とリスク」「信用力や審査」といった観点から、フリーランスと他の働き方を比較し、その特徴とメリット・デメリットを整理します。
働き方・契約形態の違い
会社員は企業と「雇用契約」を結び、就業規則に従って定められた時間・場所で働くのが基本です。仕事内容や役割は会社側の指示により決まり、異動や転勤などもあり得ます。一方、フリーランスは企業とは「業務委託契約」や「請負契約」などを結び、報酬と納期に基づいて成果を納品するスタイルです。
個人事業主は税務署に開業届を出して活動する事業者のことで、広義にはフリーランスも個人事業主に含まれます。ただし、個人事業主には飲食店や小売業のように「店舗経営型」の働き方も多く、フリーランスが「知識・スキルを活かして個人で働くスタイル」に特化しているのが特徴です。
つまり、
・会社員＝時間や業務を拘束される代わりに安定収入を得る働き方
・個人事業主（フリーランス含む）＝自ら事業を構築して自由に働くスタイル
と整理できます。
税金・社会保険・福利厚生の違い
税金や社会保険制度においても、3者の違いは大きく表れます。
会社員は、会社が源泉徴収によって所得税を差し引いたうえで給与を支払い、年末調整によって税金を精算してくれます。社会保険も「厚生年金」「健康保険（協会けんぽまたは組合健保）」に加入し、保険料の半額を会社が負担してくれるため、個人の負担は比較的軽くなります。加えて、有給休暇や産休・育休、慶弔休暇などの福利厚生も充実しています。
一方、フリーランスや個人事業主は「自分で確定申告」を行い、国民年金・国民健康保険に加入します。保険料は全額自己負担で、年金額や医療保障も限定的です。福利厚生もないため、自ら保険に加入したり、民間サービスを活用して備えたりする必要があります。
ただし、フリーランスには「青色申告特別控除」「必要経費」「専従者給与」などの税制上のメリットが多く、うまく活用すれば会社員より節税しやすいという利点もあります。
収入・リスク・安定性の違い
収入面で見ると、会社員は毎月決まった給料を受け取ることができ、賞与や昇給、退職金などの制度が整っている場合もあります。仕事量や業績に関わらず一定の収入を得られるという「安定性」が最大のメリットです。
一方、フリーランスは仕事をした分だけ報酬を得る成果報酬型です。自分のスキルや営業力次第で収入を大きく伸ばせる可能性がある反面、案件が途切れたり、単価が下がったりすれば、収入が一気に不安定になるというリスクもあります。さらに、体調を崩して働けなくなった場合には、誰も代わりを務めてくれません。
個人事業主もフリーランスと同様、安定性より自由度が高い働き方ですが、事業モデルによっては店舗や従業員を抱えて固定費がかさむこともあり、より高い経営スキルが求められます。
信用力や審査の通りやすさの違い
社会的信用という点では、依然として会社員が有利です。給与明細や源泉徴収票が明確に出せること、定職についていることから、クレジットカードや住宅ローン、賃貸契約などの審査にも比較的通りやすいとされています。
対して、フリーランスや個人事業主は、収入が不安定であると見なされることが多く、金融機関や不動産会社の審査においては不利になるケースが少なくありません。実際、開業直後はクレジットカードの申請が通らなかったり、住宅の賃貸契約に苦労したりする例もあります。
ただし、確定申告書の控えを数年分そろえ、安定した売上があることを証明できれば、信用力は徐々に高まっていきます。屋号付き口座や会計ソフトの導入、信頼あるクライアントとの取引など、信頼を築く努力が必要です。
自分に合った働き方を選ぶには、リスクとメリットのバランスを見ることが重要です。
フリーランスのメリットは、自由と裁量、収入アップの可能性にありますが、それと引き換えにリスクや負担も少なくありません。一方、会社員は安定と制度面での充実が魅力ですが、自由度には制限があります。どちらが優れているかではなく、自分の価値観や目指すキャリアに合っているかを見極めることが大切です。
参考：フリーランス・個人事業主・自営業の違いは？メリットやデメリット、開業手続きを解説
フリーランスに向いている人・向いていない人
フリーランスという働き方は、自由度が高く魅力的な反面、すべての人に適しているとは限りません。向き不向きを見誤ると、収入が不安定になったり、精神的な負担を抱えたりしてしまうこともあります。ここでは、フリーランスに向いている人と向いていない人の特徴を整理し、自分に合った働き方を見つけるためのヒントを紹介します。
フリーランスに向いている人の特徴
1．自己管理能力が高い人
フリーランスはすべての仕事を自分で管理する必要があります。納期の管理、作業時間の配分、健康管理まで、会社に頼ることはできません。そのため、自分で計画を立てて物事を進められる人は、フリーランスとして活躍しやすい傾向にあります。
2．専門スキルを持っている人
フリーランスは「スキルを商品にして働く」スタイルです。ライターやデザイナー、エンジニア、マーケターなど、専門的な知識や経験を活かせる人は、競争の中でも強みを発揮できます。スキルが高いほど単価も上がりやすく、継続案件も獲得しやすくなります。
3．学び続けられる人
フリーランスは常に新しい知識や技術を身につけ、変化に対応する必要があります。業界のトレンドが変われば、それに合わせてスキルや提供価値をアップデートしなければなりません。継続的に学び、自己投資を惜しまない人は、長く第一線で活躍できる可能性が高いです。
4．営業・コミュニケーションに抵抗がない人
フリーランスは、スキルだけでなく「仕事を得る力」も重要です。ポートフォリオの作成、案件への応募、クライアントとのやりとりなど、営業的な動きも不可欠です。コミュニケーションが得意で、人とのつながりを大切にできる人は、チャンスを広げやすいでしょう。
5．環境の変化を楽しめる人
毎月の案件内容やクライアントが変わることも珍しくないフリーランスの世界では、柔軟な思考や変化への適応力が問われます。変化をストレスと感じず、楽しみながら仕事に取り組める人は、フリーランスの働き方と非常に相性が良いといえます。
フリーランスに向いていない人の特徴
1．安定を強く求める人
収入が毎月安定して得られるとは限らないフリーランスにとって、変動に耐えるメンタルや生活設計力は必要不可欠です。「毎月同じ給料がないと不安」というタイプの人は、フリーランスに向いていない可能性があります。
2．自己管理が苦手な人
誰かに管理されないと動けない、納期がギリギリにならないと作業を始められないという人は、フリーランスになると業務が回らなくなる恐れがあります。規則正しく計画的に動けないと、信頼を失うだけでなく、自分自身が苦しむことになります。
3．営業や交渉が苦手な人
仕事を自分で獲得する必要があるフリーランスにとって、営業や価格交渉は避けて通れません。対面営業でなくても、メッセージのやり取りや提案文の作成など、常に「自分を売り込む」場面が出てきます。これに大きなストレスを感じる人は、フリーランスとしての活動が長続きしにくいかもしれません。
4．責任感が薄い人
納期を守らない、連絡を怠る、成果物の質が低い。こうした態度はフリーランスにとって致命的です。信頼を失えば継続案件は途絶え、評判も下がります。「自分の仕事に責任を持つ」意識がないと、フリーランスとしての信頼関係を築くのは難しいでしょう。
5．孤独に弱い人
ひとりで作業を続けるフリーランスは、想像以上に孤独を感じることもあります。人との関わりが好きな人にとって、コミュニティや相談相手がいない環境は大きなストレスになりがちです。孤独を克服する手段を持っていない人は、精神的な負担が大きくなる可能性があります。
会社員や副業との相性で判断する
「自分はフリーランスに向いているのか？」と考えるとき、必ずしも「いきなり独立」する必要はありません。まずは会社員として働きながら、副業でフリーランス的な仕事を始めてみるのも一つの方法です。
副業であれば収入の柱を維持しつつ、フリーランスとしてのスキルや営業力、業務の進め方を実践的に学ぶことができます。また、自分のモチベーションや適性も確認しやすいため、向き不向きを冷静に判断する材料になります。
一方で、「自由な働き方に憧れているだけ」「会社が嫌だから辞めたい」など、消極的な理由でフリーランスを目指すのは危険です。フリーランスはあくまで「自分で働く環境を切り開いていく」ことが前提であり、強い意志と計画性が求められます。
向いているかどうかに加え、「準備が整っているか」「失敗したときのリスクをどう取るか」といった観点でも検討することが大切です。
フリーランスに向いているかどうかは、性格やスキルだけでなく、準備や覚悟にも左右されます。自分の特性と現状を見極め、最適なタイミングで一歩を踏み出しましょう。
参考：フリーランスのメリットとデメリットとは？向いている人も解説
フリーランスを始める前に押さえておきたいポイント
フリーランスとして独立する前には、最低限準備しておきたい手続きや対策があります。自由な働き方には自己責任が伴うため、事前の準備がその後の安定したフリーランス生活を左右します。
ここでは、開業届の提出から信用対策、収入の確保、税務関連まで、フリーランスになる前に押さえておくべき重要ポイントを4つの観点から解説します。
開業届の提出と個人事業主としての登録
フリーランスとして事業を始めるなら、まずは「開業届」の提出が必要です。開業届とは、個人で事業を始めることを税務署に届け出る手続きで、正式に「個人事業主」として登録されることになります。
この手続きを行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 青色申告による節税が可能（最大65万円の控除）
- 屋号（ビジネスネーム）の使用ができる
- 小規模企業共済などの制度利用が可能になる
提出は事業開始から1か月以内が目安で、税務署に紙で提出するほか、freee開業やマネーフォワードなどのクラウドサービスを使えば、オンラインで簡単に手続きできます。
また、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」も提出することで、節税メリットの大きい青色申告を選択することができます。これにより、帳簿を正しくつければ赤字の繰越や専従者給与の設定など、多くの税制優遇を受けられます。
クレジットカード・住宅契約など信用対策
フリーランスになると、社会的な信用力が一時的に下がる傾向があります。特に開業初期は「収入が安定しない人」と見なされ、以下のような審査で不利になるケースがあります。
- クレジットカードの新規発行
- 住宅ローンや自動車ローンの審査
- 賃貸住宅の入居審査
- スマートフォンや各種サービスの分割払い
そのため、フリーランスとして独立する前に「会社員のうちに済ませておくべき手続き」を完了させておくことが重要です。具体的には、以下のような準備が効果的です。
- クレジットカードは必要な分を発行しておく（事業用・私用の2枚に分けると管理が楽）
- 賃貸住宅や住宅ローンの契約を済ませておく
- 公共料金や通信費などの口座振替・クレカ払いを整備する
また、フリーランスとしての実績が出てきた後は、確定申告書類や収入証明を提出することで、徐々に信用力を築くことも可能です。
収入源の確保とエージェント活用
フリーランスとして安定した収入を得るには、開業前から収入源を確保する準備が欠かせません。いきなり「仕事ゼロ」でスタートすると、生活資金がショートしてしまうリスクがあるため、以下のような取り組みを開業前から始めておくことをおすすめします。
- 副業としてフリーランス業務を始めて実績を作っておく
- ポートフォリオや実績サイトを整えておく
- SNSやnote、ブログで情報発信を行い、集客導線を確保する
- クラウドソーシングサービスで案件を探してみる
さらに、フリーランス向けのエージェントサービスを活用することで、スキルに合った案件を紹介してもらえます。特にIT系やクリエイティブ系、マーケティング系などは、専門エージェントとの相性が良く、単価や条件も比較的高水準です。
エージェントをうまく活用することで、「自分で営業するのが苦手」という人でも安定した収入を得やすくなります。
確定申告や帳簿管理の準備
フリーランスになると、会社員のように年末調整をしてもらえないため、自分で「確定申告」を行う必要があります。事業所得がある場合、毎年2月16日〜3月15日の期間内に、所得と経費を計算して税金を納める必要があります。
その際に必要となるのが、日々の「帳簿管理」と「領収書の整理」です。開業当初から帳簿付けをしっかり行っておくことで、確定申告がスムーズになり、税務調査のリスクも抑えられます。
具体的な準備としては以下のような点が挙げられます。
- 会計ソフト（freee、マネーフォワード、弥生会計など）を導入しておく
- クレジットカードや銀行口座を事業用と私用で分ける
- 経費として認められる支出を理解しておく
- 青色申告に必要な複式簿記の仕組みを把握しておく
また、帳簿付けの作業に不安がある場合は、開業初期だけでも税理士に相談するのも良い選択です。報酬は発生しますが、正しい知識のもとで経理処理を始められるため、後々の負担やリスクを減らすことができます。
フリーランスを始める前には、制度・信用・収入・税務の4つの観点で準備を整えることが大切です。しっかり備えておくことで、独立後の不安やトラブルを大きく減らせます。
参考：【2025年】楽しすぎ？後悔？増えすぎと言われるフリーランスのメリット・デメリットを解説
よくある質問
Q.フリーランスになるには資格が必要ですか？
多くのフリーランス業種では、資格がなくても活動可能です。たとえばライター、Webデザイナー、エンジニア、動画編集者などは、実務経験やポートフォリオが重視される傾向にあります。
一方で、税理士や行政書士、社会保険労務士など、業務独占資格が必要な分野では、国家資格の取得が不可欠です。また、医療や法律関係など、一部の専門業務も資格や登録が前提となるため、自分が目指す分野に応じた確認が必要です。
資格が不要な場合でも、スキルや実績の可視化が信頼を得るうえで重要になるため、実務能力を証明できるような準備を進めることをおすすめします。
Q.フリーランスと個人事業主はどちらが有利ですか？
フリーランスと個人事業主は、実は明確に区分されるものではありません。税務上では、フリーランスも「個人事業主」として扱われます。違いはあくまで「呼び方」や「働き方のスタイル」によるものであり、どちらが有利・不利というものではありません。
一般的に「フリーランス」は、スキルや知識を活かして案件ごとに契約する人を指すことが多く、「個人事業主」は、店舗経営やサービス提供なども含めた広い事業者を指す傾向にあります。
重要なのは、節税や信用構築の面で「開業届を出して個人事業主として登録するかどうか」です。開業届を出すことで青色申告が可能となり、65万円の控除や経費計上の幅が広がるなど、多くのメリットがあります。
Q.フリーランスでも社会保険に入れますか？
フリーランスになると、基本的には「国民健康保険」と「国民年金」に加入することになります。これは自営業者と同様で、会社員が加入している厚生年金や健康保険（協会けんぽ）には原則として加入できません。
ただし、条件を満たせば「国民健康保険組合」に加入することで、一般的な国民健康保険よりも保険料が抑えられることがあります。また、所得が一定以下の家族の扶養に入ることで、社会保険に加入できるケースもあります（※配偶者が会社員などの場合）。
また、フリーランスでも会社を設立すれば、代表者として厚生年金や協会けんぽに加入することが可能です。社会保険の負担軽減や将来の保障を考慮するなら、法人化も一つの選択肢となります。
Q.フリーランスとして成功するには何が大切ですか？
フリーランスとして安定して活躍するためには、以下の4つが特に重要です。
- スキルの継続的な向上
業界の変化に対応するために、日々学び続ける姿勢が求められます。特にITやクリエイティブ分野では、ツールや技術の進化が速いため、定期的なインプットが欠かせません。 - 営業力と人脈形成
良い仕事を得るためには、自分から仕事を取りに行く力が必要です。ポートフォリオの整備、SNSでの情報発信、フリーランスエージェントの活用などを通じて、継続的に案件を確保できる仕組みを整えることが大切です。 - 自己管理能力
納期やスケジュール、金銭面の管理をすべて自分で行う必要があるため、自己管理ができないとトラブルの原因になります。仕事とプライベートのバランスを保ちながら、計画的に行動する力が求められます。 - 信頼関係の構築
フリーランスは「信用がすべて」と言っても過言ではありません。納期の厳守、丁寧な対応、品質の担保など、小さな信頼の積み重ねがリピートや紹介につながります。
参考：フリーランスになるメリット・デメリットは？独立前に考えておきたいポイントのまとめ
フリーランスは自由と責任がセット。自分に合った働き方を見つけよう
フリーランスという働き方は、自由度の高さと自分らしさを活かせる点が大きな魅力です。一方で、収入の不安定さや社会保障の弱さ、すべての責任を自分で背負う必要があるなど、会社員にはないリスクも存在します。
だからこそ、フリーランスとして独立する前には、自分のスキル・性格・生活環境を見直し、現実的な視点で準備を整えることが不可欠です。特に、開業届の提出や信用対策、収入源の確保、帳簿管理の体制などは、安定して働くうえでの土台となります。
自由と責任は表裏一体。フリーランスという選択肢を前向きに検討するためにも、自分にとって最も納得のいく働き方を見つけていきましょう。挑戦には不安がつきものですが、事前に備えることでその不安は確実に減らすことができます。